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2017-09-14

Column64 (09/14):HUBZone Program等の申請(米国)

Column3「公共調達における付帯的政策(1)(米国)」で紹介したとおり、米国連邦政府では、一定金額の物品やサービスの調達において、一定条件を満たす中小企業と優先的に契約できることを連邦調達規則(Federal Acquisition Regulation、以下「FAR」という。)で規定しています。

具体的には、FAR第19章5において、契約担当官は、3,000ドル~150,000ドルの調達について(一部例外あり)、set-aside(中小企業向けの留保)を適用し、自動的に中小企業との契約を締結することが義務付けられています。ただし、契約の締結は、契約担当官が、市場価格や質、配送の点で、競合する2者以上の中小企業からの見積や提案が期待できると判断した場合に限るという2者ルールも存在します。

それでは、set-asideの対象となる中小企業は、どのような企業なのでしょうか?

対象となる中小企業は、以下のプログラム・カテゴリーの対象となっている企業です。

<set-asideの対象>
・8(a)Business Development
・HUBZone Program
・Woman Owned Small Business Program(includes Economically Disadvantaged Woman Owned Small Business concerns)
・Service Disabled Veteran Owned Program

上記のプログラム・カテゴリーの対象となるための条件は複数あり、中小企業の中には、複数のプログラム・カテゴリーの条件に該当する企業もあります。

そこで、米国中小企業庁(Small Business Administration、以下、「SBA」という。)は、中小企業が簡単にプログラムの申請等が行えるよう、“Certify.sba.gov”やHUBZone Mapというウェブサイトを立ち上げています。

“Certify.sba.gov”では、“Am I Eligible?”というツールがあり、企業がウェブ上のいくつかの質問にYes/Noで回答すると、複数のプログラム・カテゴリーのうち、自社が利用可能なプログラム・カテゴリーが分かる仕組みがあります。また、これまではプログラムの申請等の一部を紙で行う必要があったものの、これによりウェブ上で申請ができるようになり、認定プロセスが簡素化された、とのことです。

このような取組で、Woman Owned Small Business Programの参加企業が増加した、との報告もされています。

二つ目のHUBZone Mapでは、現在のHUBZoneが地図上に示され、定期的に更新されます。Column37「HUBZone Programに関する検査事例(1)(米国)」で紹介したとおり、HUBZoneとは、歴史的低開発地域(historically Underutilized Business Zone)の略称で、HUBZoneプログラムの対象となる指定地域は、失業率や貧困率等の統計データを基に決定されます。そのため、経済状況等の変化で、定期的に対象地域が見直され、以前はプログラムの対象であった地域に所在し、優遇対象となっていた企業が、経済状況等の変化で、指定地域外となり、優遇対象ではなくなるという状況が発生します。

そのため、現在のHUBZone対象地域を一目で把握できるツールは、中小企業にとって便利なツールと言えるでしょう。

日本でも、官公需ポータルサイトが運用されており、国・独立行政法人、地方公共団体等がホームページ上に掲載している入札情報を、品目分類やキーワードで検索することができます。

公共調達における中小企業の参加を促進するため、こういったウェブサイトや電子入札の利便性を高めるための継続的な取組は重要な取組でしょう。

(参考資料)
U.S. Small Business Administrationウェブサイト
Executive Office of the Presidentウェブサイト
中小企業庁ウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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