Column167 (10/2):共同調達のインセンティブ(NZ)
Column105「公共調達の原則(ニュージーランド)」では、ニュージーランドの公共調達の5つの原則を紹介しました。
また、Column108「共同調達の検討(ニュージーランド)」、Column109「共同調達の品目(NZ)」では、ニュージーランドの共同調達の基本的な流れや、3つの共同調達のうち“All-of-Government contracts”(※)の品目を紹介しました。
※企業・技術革新・雇用省(Ministry of Business, Innovation & Employment、以下MBIE)の一部局である、New Zealand Government Procurement and Propertyが取りまとめ役となる、汎用的なモノ・サービスの共同調達です。
“All-of-Government contracts”の品目(18品目)の2018年度の調達金額は2,365百万NZドル(約1,658億円)、削減額は185百万NZドル(約129億円)、管理費は19百万NZドル(約13億円)とのことです。
18品目の中で最も調達金額及び削減額の大きかった品目は、採用サービス(External Recruitment Services)で、調達金額801百万NZドル(約561億円)、削減額37百万NZドル(約25億円)、管理費7百万NZドル(約4億円)と示されています。
ここで、管理費とはどのようなものでしょうか?
大部分の品目ではAll-of-Government contractを締結・管理するためのコストとして、管理費が契約金額に含まれています。
この管理費率は、品目に応じて異なりますが、管理費率の上限は個々の契約金額の1.5%とされ、手続の効率化等により0.8%まで減少するようです。
サプライヤーは、個々の契約の管理費を全てまとめて、共同調達の推進役であるMBIEに請求します。
参加機関は契約額に含まれる管理費を負担せずに有利な価格で調達し、共同調達の推進役であるMBIEがまとめて負担することで、参加機関に共同調達への参加のインセンティブを与えるとともに、MBIEにとっては、手続きの効率化等に見合った管理費率の決定に向けた材料を一元的に収集することが可能になっているのかもしれません。
日本の中央省庁でも事務用消耗品等の共同調達が進んでいますが、あくまで各府省の中から幹事府省を決定し、幹事府省が取りまとめ役となって連名契約を締結し、各府省が調達金額に応じた管理費を按分する方法が基本だと思います。
共同調達の品目は徐々に拡大していますが、参加機関にとってどのようなインセンティブを設けて共同調達を推進するか?、例えば、共同調達の推進役である内閣官房が管理費を負担して、管理費の一元管理を実施する等、何か仕組みの見直しが必要な時期かもしれません。
(出典)
New Zealand Government Procurement and Propertyウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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