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2020-08-09

Column163 (8/10):中小企業の受注に係る会計検査事例(米国)

Column160「米国エネルギー省の再委託に関わる会計検査(米国)」では、米国エネルギー省の再委託を含めた契約管理の状況等について、米国会計検査院(Government Accountability Office、以下GAOという)が検査したレポート“Department of Energy Contracting: Actions Needed to Strengthen Subcontract Oversight”(2019)を紹介しました。

今回は、GAOが中小企業庁(Small Business Administration、以下SBAという)の各支所に配置している調達センター担当者(Procurement Center Representatives、以下PCRという)について検査したレポート“Better Documentation and Reporting Needed on Procurement Center Representatives”(2020)を紹介します。

はじめに、各支所に配置されているPCRの主な役割は、各機関の契約担当官に対してset-asideを推奨すること、中小企業の参加促進に向けた相談・調整等を行うことです。

GAOは、SBAがPCRの活動実績についてどのように把握し、議会へ報告しているか等を検査しています。

その結果、各支所のPCRは、月次の活動内容や達成状況等をまとめた月次報告を作成し、SBAもこれらのデータを保存するよう手続きに明記しているものの、SBAがPCRの月次報告を一元的に保存する仕組みを構築していないため、月次報告をPCRの個人PCに保存していたり、PCRの退職後、データを破棄しているケースが見られた、とのことです。

また、SBAは中小企業の重要な受注機会や地域の状況等を踏まえて、どの地域にPCRを任命し、PCRがどのような活動をしているか等を議会に報告すべきところ、議会への報告を怠っていたとのことです(※)。

※:2010年12月に初めて議会報告が行われ、その後、3年毎に議会報告すべきところ、報告がなされていなかった。

これを受けて、GAOはSBAに対して以下の2点を勧告しています。

・PCRの活動報告データを蓄積するための一元的な体制を構築すること

・PCRの評価や活動についての議会報告を確実に行うこと

SBAはこの2つの勧告に同意した、とのことです。

日本でも、国等の発注機関及び官公需相談窓口が設置されていますが、これらの窓口で具体的にどのような活動が行われているか等を中小企業庁が一元的・効率的に把握し、今以上に、現場の状況を踏まえた全体の改善策を検討することも必要かもしれません。

(参考資料)
GAOウェブサイト、川澤・大野(2016)「公共調達における政策的配慮と経済性の確保−我が国及び米国連邦政府の取組等を基にした検討−」

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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