Column113 (12/23):調達に関わるデータベース(米国)
Column78「国防総省の付帯的政策に関する検査事例(米国)」では、米国会計検査院(以下、「GAO」という)が、連邦政府の調達データベース(Federal Procurement Data System-Next Generation)を活用して、国防総省のモノ・サービスに関する契約を分析した事例を紹介しました。
このようにGAOでは、調達データベースを活用して様々な検査を行っています。
調達データベースの方針は、行政管理予算局内の連邦調達政策室(Office of Federal Procurement Policy)が決定し、データベースの管理運営は連邦調達庁(General Services Administration)が行っています。
また、調達データベースには、個々の契約や数量不確定契約の個々の発注ごとの契約価格、契約相手方等が蓄積されています。
このような調達の基本情報に加えて、例えば、Buy American Act(※)のような関連法の調達情報も蓄積されているのです。
※Buy American Actとは、連邦政府が、海外の製品よりも米国で製造した製品(サービスは除く)を優先的に調達することを求める法律です。ただし、契約が一定の条件(米国内の製品の量が十分でない等)に該当する場合には、海外の製品を調達することが認められています。
具体的には、調達情報データベースに、“Place of Manufacture” という項目があり、海外の製品を調達している場合は、この項目で「米国外での生産」と「その理由」(国内製品量が十分ではないため、国内製品価格が適当な価格ではないため)を選択する仕組みになっています。
GAOは、この調達データベースのBuy American Actの情報を、同法の実施状況の検査において活用しています(GAO(2018)”BUY AMERICAN ACT-Actions Needed to Improve Exception and Waiver Reporting and Selected Agency Guidance”)。
調達情報データベースは、各府省が調達情報を分析するだけでなく、GAOが調達に関連する法律の実施状況を検査する際の情報源にもなっているのです。
加えて、Buy American Actに関わる調達データベースの情報は、米国内の製品メーカーが、各府省庁がどのような製品をBuy American Actの例外規定で調達しているか知るための情報源となっています。一般ユーザーが調達情報データベースに直接アクセスするのではなく、Buy American Actの情報がウェブサイト(FED BIZ OPPS.GOV)で公表されるようになっているのです。
調達情報を政府内だけで活用するのでなく、政府全体で蓄積し、会計検査院や国民も広く活用できるようにする等の視点は重要ではないでしょうか。
(参考資料)
Government Accountability Officeウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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