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2018-07-14

Column98 (7/14):売上高に関わる選定基準(EU)

Column81「公共調達の参加資格(米国)」では、米国連邦政府の契約担当官が、set-asideの対象となる契約で、契約毎に締結可能な企業のNAICSコード(産業分類と企業規模基準を含む)を決定することを紹介しました。

日本で、(中小企業に配慮する案件において)契約担当官が入札の参加要件の1つとして参加等級を決定しているようなイメージです。

ただし、米国連邦政府のNAICSコードは産業と企業規模で分類されているため、日本の参加資格(例えば、省庁統一参加資格はA〜Dの4等級)よりも細かい区分で設定されており、日本に比べて、set-asideの対象となる契約毎に参加可能な企業が絞り込まれていると言えるでしょう。

※米国連邦政府では、Column3「公共調達における付帯的政策(1)(米国)」で紹介したとおり、契約担当官は、3,000ドル~150,000ドルの調達について(一部例外あり)、特定のプログラム・カテゴリーの対象となっている中小企業にset-aside(中小企業向けの留保)を適用し、契約を締結することが義務付けられています。

それでは、EUでも、参加資格等について何らかの取り決めがあるのでしょうか?

今回は、2014年に改正されたEU指令において新たに設けられた、売上高に関する選定基準を紹介します。

EU指令では、選定基準(Selection criteria)に関するものの1つに、経済・財政面(economic and financial standing)の基準があります。

これについて同指令では、契約機関は、一部の例外を除き、経済・財政面の選定基準として、予定契約価格の2倍以上の年間売上高要件を設けてはならないとしています。

これにより、スタートアップ企業やイノベーティブな中小企業、設立間もない売上高の少ない企業等の公共調達への参加を促しているのです。

日本でも、契約担当官が会計法令及び内規等に基づいて、参加等級を決定しています。また、調達改善の一環として、参加等級を拡大する取組等も行われています。

ただし、例えば、日本の中央省庁統一の参加等級は、年間平均(生産・販売)高(前2ヶ年の平均実績高)、自己資本額の合計、流動比率、営業年数、設備の額のそれぞれが点数化されて総合点で参加等級が決まるため、必ずしも、案件毎に売上高の要件が設定されている訳ではありません。

その意味では、EUの仕組み(案件毎に売上高の最低要件(契約予定価格の2倍を超えない)を設定)と単純な比較検討はできませんが、どの位の規模の契約にどの程度の売上実績(水準)を求めることが妥当か?、日本でも改めて検討しても良いかもしれません。

(出典)
EUウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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