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2016-11-24

Column23 (11/24):公共調達における付帯的政策(1)(英国)

公共調達では、調達における公正性、厳正性及び経済性を確保することが求められています。さらに、このような、公正性・厳正性と経済性の調和を前提として、一定の政策目的を達成するための配慮を行うことも求められています。様々な政策的目的を実現するために契約の場を活用すること、いわゆる「付帯的政策」の推進が求められているのです。別の言い方をすれば、一定の政策目的を達成するための「誘導」として、公共調達というインセンティブが付与されているとも言えます。

このような一定の政策目的を達成するために公共調達を活用する手法は、日本だけで行われているのでしょうか?それとも、諸外国でも行われているのでしょうか?

答えは、諸外国でも行われています。

その一つとして、Column3「公共調達における付帯的政策(1)(米国)」Column16「公共調達における付帯的政策(2)(米国)」では米国連邦政府における取組を紹介しました。今回は、英国中央政府における取組を紹介します。

英国中央政府では、公共調達における中小企業の受注機会を増やすため、様々な取組を行うとともに、2020年までに中央政府のモノやサービスに関わる予算の33%を中小企業から直接又は間接的に調達するという数値目標を設定しています。

このような取組を行う背景として、英国中央政府では、中小企業が公共調達における受注者となることは、中小企業の売上や利益さらには雇用の増加につながり、中小企業のビジネスを改善するためだと主張しています。

※公共調達が上記のような中小企業の売上や利益さらには雇用の増加に実際に寄与しているか(またどの程度寄与しているか)の具体的な検証の有無等は、別のColumnで改めて紹介したいと思います。

ここでは、英国中央政府で中小企業の受注機会の増加に向けて取り組まれている主な内容を紹介します。

・参加手続きの簡素化:中小企業へのヒアリング等を踏まえ、迅速かつ簡単に公共調達に参加できるよう、プロセスを簡素化。

・30日後の支払:中小企業にとって、確実な支払やキャッシュフローの確保は重要であるため、30日後もしくは30日以下での支払を保証。

・問題の解決:支払に関すること等、調達のプロセスに関わる何らかの懸念が生じた場合、Mystery Shopperに連絡することで、Crown Commercial Service(以下、「CCS」と略称)がその内容を調査(匿名でも可能)。

・契約情報等の公表:10,000ポンドを超える契約情報については、Column22「公共調達に関する制度(英国)」で紹介した公共調達の情報を提供する統一的なサイト(Contract Finder)で検索することが可能。また、Procurement pipelineでは入札案件の検索も可能等。

・参加に向けた支援:参加手続きをまとめたガイドを提供。また、受注者となった企業の事例を作成、TwitterでCCSをフォローすることが可能等。

・ニュースレター(Open4Biz)の発行:中小企業のニュースをまとめた月次のニュースレターを作成。

日本でも、中小企業の受注機会を増やすため、様々な取組が行われていますが、上記の主な取組のうち、特に注目すべきは、Mystery Shopperの取組だと思います。

Mystery Shopperの取組は、2011年に開始され、その後、2015年には、Small Business Enterprise and Employment Actにおいて、CCSの調査権限に法的根拠が付与されました。

さらに、2015年には、CCSが、企業から相談を受けてから実施するいわゆる受託型の調査だけでなく、自主的な「Spot Check」も開始するようになりました。

このMystery Shopperの取組については、また別のColumnで詳細を取り上げたいと思います。

(参考資料)
Crown Commercial Serviceウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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