toggle
2020-12-14

Column171(12/14):国及び自治体の電力調達(3)(日本)

Column114「国及び自治体の電力調達(日本)」Column147「国及び自治体の電力調達(2)」Column151「防衛省の電力調達(日本)」では、国及び自治体で進められている電力調達の再生可能エネルギーへの転換について紹介しました。

今回は、全ての府省庁の施設で使う電力について30%以上を再生可能エネルギーで調達するよう呼びかけた行政改革相と環境相の共同会見を紹介します。

共同会見では、防衛省の取組(151施設のうち115施設で使用電力の30%以上を再生可能エネルギーで調達)や、環境省の取組(今年度、新宿御苑等の9施設で全ての電力を再生可能エネルギーでまかなうRE100を達成)が紹介された、とのことです。

これまでも電力調達については、各府省庁において、電力の自由化を背景とした複数施設での共同調達と競争入札への移行等、様々な調達改善の取組が行われてきました。

今回、明確に全ての府省庁の施設で30%以上を再生可能エネルギーで調達するよう呼びられたことを受け、各府省庁でも更に電力調達の再生可能エネルギーへの転換が進むことが考えられます。

その際、まずは、先行的に取り組んでいる防衛省、環境省及び自治体の経験を十分に共有し、更なる改善を講じることが必要でしょう。

例えば、以下のような取組は極めて重要だと思います。

1)一者応札にならないよう、各府省庁がそれぞれ所管する施設の地理的要件や参入可能事業者の状況等を十分に調査・共有して効率的・効果的な調達となるよう政府全体で戦略を立てること

2)施設における調達単位(共同調達や単独調達)や、それぞれの調達における入札の方法(価格競争、価格と技術を総合的に評価する総合評価落札方式、少額随意契約におけるオークションサイトの活用等)、仕様書の要件(単年度契約か複数年度契約か等)等を効果検証をしやすいように企画・設計すること

また、その際には、調達における短期的な価格と長期的な価格(再生可能エネルギーへの転換という政策課題に公的機関として率先して取り組むことの重要性や、二酸化炭素排出量削減効果(見込み)を含むフルコストの観点)をどう捉えるか、個々の調達案件の知見を蓄積して、更に検討を深めていく必要もあると思います。

(参考資料)
朝日新聞(2019年12月10日)

Social Policy Lab㈱
川澤良子

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA