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2020-07-26

Column162 (7/26):中小企業の受注機会に関わる評価(日本)

Column2「公共調達に関する制度」Column58「中小企業の受注機会の増大」で紹介したとおり、日本では「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(官公需法)」(昭和41年法律第97号)があり、国等が物件の買入れ等の契約を締結する場合に、新規中小企業者をはじめとする中小企業者の受注機会を確保するための措置を講じています。

この官公需法に基づき、毎年度「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」が閣議決定され、国等の契約のうち中小企業・小規模事業者向け契約に関わる目標等が示されています。

2019年度の目標は、1)官公需予算総額に占める中小企業・小規模事業者向け契約比率が前年度までの実績を上回るように努め、55.1%になること、2)契約金額が約4兆3,369億円になること等です。

これらの目標の達成状況は、毎年度、中小企業庁が国等の機関の取組をフォローアップし公表しています。

このような公共調達における中小企業の受注機会等については、EUでも域内各国の取組について継続的なフォローアップが行われています。

今回は、EUのレポート“Analysis of SMEs’ participation in public procurement and the measures to support it”(2020)で注目したい点(2点)を紹介します。

1点目は、EUの同レポートでは、中小企業の参加促進に関わる施策とデータベースを基にした中小企業の参加率を調査し、有効な施策を検討している点です。

日本では、中小企業・小規模事業者の契約金額等といった受注状況は調査されていますが、参加率等の参加状況は把握されていません。受注機会の増大という意味では中小企業・小規模事業者の参加率は重要な指標ではないでしょうか。

2点目は、中小企業の元請契約としての参加だけでなく、再委託先やコンソーシアムメンバー(幹事企業ではないメンバー)としての参加状況も、アンケート調査を活用してフォローアップしている点です。

中小企業・小規模事業者の受注機会の把握という意味では、元請契約先だけでなく広く再委託先等も含めて中小企業等の参加状況を調査し、施策を検討することは有効ではないでしょうか。

もちろん、日本固有の事情としてEU程データを容易に入手できない等の事情はありますが、今後の施策を検討する上で、どのような視点、指標での調査・分析が必要か?更に検討を深める必要があるのではないでしょうか。

(参考資料)
EUウェブサイト、中小企業庁ウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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