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2020-07-09

Column161 (7/9):公的機関における温室効果ガスの削減(英国)

英国は、2008年の気候変動法において、2050年までに1990年比で少なくとも80%温室効果ガスを削減することにコミットしています。

2017年10月には、経済成長の拡大と排出量の削減をもたらす「グリーン成長」の加速化を目指したクリーン成長戦略(The Clean Growth Strategy)を発表しました。

クリーン成長戦略では、中央政府における2020年目標の厳格化、公的機関における自主目標(2020〜2021年までに二酸化炭素排出量30%削減)の導入、公的機関におけるエネルギー効率改善のための資金投入等が盛り込まれています。

このような二酸化炭素排出量の削減に向けて、公的機関の調達改善をサポートするCrown Commercial Service(以下、CCSという)(※)もガイドの作成等、サポートに乗り出しています。

※:英国では、英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、CCSが、調達達政策において重要な役割を果たしています。具体的には、中央政府や地方政府、それ以外の公的機関が共通して調達するモノ・サービスのフレームワーク合意に関わる調整や、中小企業の公共調達への参加促進等、各機関の調達改善に向けた様々なサポートをしています。

Column147「国及び自治体の電力調達(2)」Column114「国及び自治体の電力調達(日本)」で紹介したように、日本でも国の機関としては、外務省が本省及び在外公館の電力を再生可能エネルギー100%に転換する方針を示したり、自治体では、世田谷区や東京都等で庁舎の電力について再生可能エネルギー100%への転換が示されています。

外務省の本省庁舎、外務省研修所他等の入札では、入札参加者の環境配慮の取組状況により入札参加資格を制限する一般競争で落札者を決定しています。

具体的には、入札参加者の環境配慮の取組状況(二酸化炭素排出係数、新エネルギー導入状況等)を点数化し、その合計が基準点以上である参加者の中から、最低価格で申し込みをした者を落札者とした、とのことです。

今後も、二酸化炭素排出削減に向けて公共調達を活用する等、政策課題の実現に向けて公共調達を活用する場面はあると思います。

その際、調達改善を支援する内閣官房等が、こうした広い意味での調達改善を支援していく体制も考えられるのではないでしょうか。

(参考資料)
環境省ウェブサイト、外務省ウェブサイト、CCSウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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