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2020-06-10

Column160 (6/10):米国エネルギー省の再委託に関わる会計検査(米国)

昨今、経済産業省の委託業における再委託の問題が多く取り上げられています。

米国連邦政府のなかで、米国エネルギー省(Department of Energy、以下DOEという。)は予算の約90%を企業や大学、研究機関等に外部委託している省です(DOEのエージェンシーNational Nuclear Security Administration(以下、NNSAという)の予算も含む)。

DOEの本省及び地方機関は、再委託の状況も含めて契約管理を行なうことになっています。

今回は、米国エネルギー省の再委託を含めた契約管理の状況等について、米国会計検査院(Government Accountability Office、以下GAOという)が検査したレポート“Department of Energy Contracting: Actions Needed to Strengthen Subcontract Oversight”(2019)を紹介します。

GAOは、2016年度のDOEの契約データや書類のレビュー、連邦政府職員や契約相手方28機関の代表者(※)へのインタビュー等により、DOEの契約における再委託の状況や、元請契約者の再委託先に対する監査についてのDOEの確認状況等、再委託の管理状況を検査しています。

※2016年度の契約のうち、規模の大きい元請契約24件に参加した28機関(複数の大学や企業等からなる合同事業体も含むため、契約件数より機関数が多い)の代表者を対象にインタビューを実施。

なお、検査対象となった元請契約は約236億ドルで、そのうち約30%(約69億ドル)は、何千もの機関に再委託されていました。

また、規模の大きい元請契約24件に参加した28機関の大部分は、元請契約だけでなく、別の契約の再委託先にもなっている複雑な関係で、その金額は927百万ドル(約3,000件)であったとされています。

検査の結果、DOE及びNNSAは、契約で求められている元請契約者の再委託先に対する監査について全ては確認しておらず、6年以上監査がされていない契約もあったとのことです。

背景として、DOEでは、本省から地方機関に対して、元請契約先が再委託先を適時適切に監査しているかを確認するよう、手続きや指針で明示していなかったと指摘されています。

結果として、GAOは、地方機関が適時に再委託先の監査をモニタリングすることを明示した手続きを作成すること等、6つの勧告を行なっています。

諸外国でも委託業務を多く実施している府省庁では再委託の状況をどう適切にモニタリングするか、課題が見られます。

本省だけでなく、地方機関も含めた府省庁全体として、まずは元請契約先が再委託先をどう適時適切に管理・監査しているかを確認するための府省庁内の手続きや指針を明確化する等、更なる施策が必要かもしれません。

(出典)
Government Accountability Officeウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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