Column159 (5/29):新型コロナウイルス関連の地方政府への調達支援(英国)
Column157「ウェブ会議開催に向けた調達支援(英国)」、Column158「新型コロナウイルス関連のサプライヤーカタログ(英国)」では、英国の新型コロナウイルスへの対応として、地方政府が開催する市民集会(public meeting)のビデオ会議開催に向けたフレームワーク合意の活用、新型コロナウイルスに関連する緊急調達に活用するためのサプライヤーカタログの作成を紹介しました。
今回は、中央政府による地方政府の調達に対する支援策の一つを紹介します。
英国では、英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、CCSという)が、調達達政策において重要な役割を果たしています。
具体的には、中央政府や地方政府、それ以外の公的機関が共通して調達するモノ・サービスのフレームワーク合意に関わる調整や、中小企業の公共調達への参加促進等、各機関の調達改善に向けた様々なサポートをしています。
CCSは、新型コロナウイルスに関連する地方政府の調達支援として、新型コロナウイルス対策の経験を共有し、共通の調達ニーズを特定するためのオンライン会議(週1回)を開催しています。
オンライン会議では、困窮世帯等へ配達する食料品の調達や、レジャー施設の閉鎖管理に関わるサービスの調達等、共通の調達ニーズ(テーマ)ごとにグループが組成され、知見の共有や対応策等が議論されているようです。
これらの地方政府の調達ニーズを受けて、CCSでは食料品や日用品の供給に関わる卸売業者大手3社との合意や、緊急工事に対応し得る建設業者(Travis Perkins社)との合意、Column158「新型コロナウイルス関連のサプライヤーカタログ(英国)」で紹介したサプライヤーカタログ等を作成しています。
加えて、オンライン会議での議論を受けて、CCS以外の組織(Ministry of Housing, Communities and Local Government(住宅・自治コミュニティ省)等)でも、工事契約等に関わる受託企業の免責等、様々な対応が図られています。
各地方政府の固有の事情により、様々な調達ニーズがあると思いますが、共通的なニーズについては中央政府の一組織であるCCSや関連機関が対応策を講じ、緊急時であってもより良い調達、調達の適切性を確保するための取組が行われています。
日本でも中央政府、地方公共団体等、様々な公的機関で新型コロナウイルスに対応した緊急調達が行われていると思います。
調達の迅速性と適切性を両立するため、調達改善を担う内閣官房等が緊急調達のニーズや課題等の情報を整理し、共通的な調達ニーズ等についてはまとめて対応する仕組みも重要ではないでしょうか。
(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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