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2020-04-16

Column157 (4/16):ウェブ会議開催に向けた調達支援(英国)

英国では、新型コロナウイルスへの対応として、地方政府が開催する市民集会(public meeting)を、ビデオ会議等のバーチャルな方法で開催することが可能となりました。

これまでの会議では、会議場等での市民の直接参加が求められていましたが、2020年4月の規則改正により、新型コロナウイルスに対応しつつ、地方政府の意思決定の有効性・透明性を確保する方策として、ビデオ会議や電話会議による市民集会が認められるようになった、とのことです。

これを受けて、英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、CCSという)は、地方政府におけるビデオ会議・電話会議の調達支援を行っています。

具体的には、ビデオ会議等のフレームワーク合意の活用です。

フレームワーク合意とは、「2006年の英国公共契約規則に規定された“長期指名候補者と事前合意制度”のことで、長期指名候補者(フレームワーク企業)を選定した上で、これら企業との間で一定期間内の個別発注(コールオフ)に関する受注者及び契約額の決定方法、契約条件等(フレームワーク)に予め同意する方式」です。

ビデオ会議等については、既にいくつかのフレームワーク合意が結ばれており(※)、合意が締結されている企業と地方政府との直接契約や、合意が締結されている企業間での競争を経た契約等が可能とのことです。

※:フレームワーク合意“Network Services 2”のロット8 (video conferencing services)やロット9 (audio conferencing services) 、Column86「クラウドサービスに関するフレームワーク合意(英国)」で紹介したDigital MarketplaceのG-Cloud11にビデオ会議等のフレームワーク合意があります。

なお、新型コロナウイルスの感染を受けて、既存のフレームワーク合意の一部は、2015年公共調達契約規則で定められた一定の要件を満たす限り(価格が既存の合意価格の50%超とならない等)、1年間、合意期間を延長する対応も取られています。

日本でも市民の行政参加の機会は多数ありますが、人と人との接触を回避しつつ、行政サービスの有効性・透明性を確保できるよう、ビデオ会議等を開催すること、また、ビデオ会議等の開催準備を各地方公共団体で進めるのではなく、全ての地方公共団体が活用できるフレームワーク合意のような発注方式を検討することも有効ではないでしょうか。

(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
国土技術政策総合研究所資料第908号「英国・米国における包括・個別二段階契約方式-フレームワーク合意方式(FA)と数量未確定契約方式(ID/IQ)-」

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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