Column152 (1/16):調達改善に向けた知見の共有(英国)
英国では、Column25「調達政策における主導機関(英国)」、Column136「調達改善の体制(英国)」で紹介したとおり、内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、「CCS」と略称)が、調達政策において重要な役割を果たしています。
具体的には、中央政府や地方政府、それ以外の公的機関が共通して調達するモノ・サービスのフレームワーク契約に関わる調整や、中小企業の公共調達への参加促進等、各機関の調達改善に向けた様々なサポートをしています。
英国では、上記のCCSに加えて、2015年に内閣府(Cabinet Office)の一組織としてGovernment Commercial Function(以下、GCFと略称)が設立されました。
GCFとはどのような組織なのでしょうか?
今回はGCFの組織概要を紹介します。
内閣府には、行政サービスの効率化に向けてサービス標準(standard)等を示す、13の政府横断組織があります。
GCFは、この政府横断組織のうちの一つです(他にGovernment Digital Service等があります)。
GCFは、政府全体におけるモノ・サービスの調達や契約管理等に関わる能力向上を役割としています。
具体的には、モノ・サービスの調達や契約管理等を行う担当者のネットワークを形成したり(約4,000人が参加)、調達業務の標準(Government Functional Standard)や人材育成プログラムを作成・提供してスキルの高い職員を認定したりしています。
GCFの一部にはGovernment Commercial Organization(以下、GCOという)があり、GCOには各府省の調達業務に従事し、認定を受けた7等級以上の上級職員250名が配属されています。
GCOの上級職員は、他府省の重要な契約に関わるアドバイス等を行っているようです(基本的には上級職員はいずれ元の府省庁に戻る)。
注目したい点は、GCFが調達に関わる専門家を外部から多数雇用するというよりは、各府省の調達担当者やCCSの職員等、既に政府内に存在する専門家のスキルアップを図り認定し、GCFを通じて他府省へそのノウハウを展開・共有している点です。
日本でも内閣官房の行政改革推進本部事務局が国の調達改善の推進役となり、各府省庁の会計課職員が参加する勉強会等が開催されています。
勉強会では各府省の会計課がそれぞれ有している知見・ノウハウが共有されていると思います。
このような取組に加えて、調達に関わる知見・ノウハウが豊富なA省の職員が、B省の重要な調達案件についてアドバイスするといった、より直接的な仕組みも有意義かもしれません。
(出典)
NAOウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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