Column148 (11/25):OECD各国の付帯的政策(OECD)
Column69「各国の公共調達に関する評価(OECD)」では、OECDのレポート“PUBLIC PROCUREMENT FOR INNOVATION Good Practices and Strategies”を基に、OECDが実施した、付帯的政策に関わる調査の結果を紹介しました。
今回は、OECDのレポート“Government at a Glance 2019”を基に、付帯的政策に関わる最近の状況を紹介します。
初めに、OECDのレポートでは、公共調達は、最良の価格でモノやサービス等を調達する一方、技術革新を促し、中小企業の発展等、経済・社会政策の目的を達成し、社会的課題に対応するための需要サイドの戦略的な政策手段としても活用されている、と説明されています。
OECD諸国を対象とした2018年の調査では、以下が報告されています。
・中央政府レベルでグリーン調達の推進に取り組んでいる国:28カ国
・中小企業の公共調達へのアクセス改善に取り組んでいる国:29カ国
・イノベーションの促進に向けて公共調達を活用している国:26カ国
取組の度合いは様々ですが、日本も含む大部分のOECD諸国が付帯的政策に取り組んでいることが分かります。
そして、同レポートでは、これらOECD諸国の付帯的政策の取組推進の課題として、最低価格落札方式の採用を挙げています。
最低価格落札方式は調達時の価格のみので落札者を決定するため、この方式ではなく、例えば、ライフサイクルを通じたメンテナンスコストや開発コスト等、様々な観点から評価し、より環境に優しいモノ・サービスを調達する等、最低価格落札方式以外の落札基準の重要性を指摘しています。
また、2016年から2018年の間の取組の変化として、グリーン調達に関わる取組が更に推進されたことと、公共調達において責任ある企業行動(responsible business conduct)を評価する取組が推進されたこと、この2点を挙げています。
責任ある企業行動を評価する取組として、例えばカナダでは、Ethical Procurement of Apparel Initiativeの一環として、入札プロセスにおいて倫理的なサプライヤーを認定する取組が行われています。
他にも、オランダ中央政府では、公共調達において責任ある企業行動をサプライヤーの義務としている、とのことです。
日本でも、グリーン調達や、中小企業・ベンチャー企業・女性活躍推進企業の優遇等、公共調達における付帯的政策が推進されています。今後は、公共調達において責任ある企業行動を評価する取組も求められてくるかもしれません。
(参考資料)
OECDウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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