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2019-10-21

Column146 (10/21):国防総省における最低価格での調達(米国)

Column76「国防総省における情報システム等の調達(米国)」では、米国国防総省(Department of Defense、以下「DOD」という)における最低価格での調達状況を検査した会計検査院(Government Accountability Office、以下「GAO」という)のレポートを紹介しました。

はじめに、2017年度国防授権法(National Defense Authorization Act)は、DODに対して、情報システム等、一部のモノ・サービスの調達を行う際、最低価格での調達(lowest price technically acceptable、以下「LPTA」という)を可能な限り採用しないよう求めています。

具体的には、一部のモノ・サービスの調達においてLPTAを採用する要件を8つに限定し(仕様以上の提案により得られる価値が無い/殆ど無い等)、可能な限り過去の実績や技術内容等を評価する調達手続を採用するよう求めています。

続く2019年度国防授権法では、DOD以外の府省についても、一部のモノ・サービスの調達においてLPTAを採用する際の要件を限定(6件)するよう求めています。

今回は、DODと一部府省において、どの程度LPTAが採用されているか?、GAOの直近の検査レポート“Information on Agencies’ Use of the Lowest Price Technically Acceptable Process”を基に紹介します。

GAOは、連邦政府の調達データベース(Federal Procurement Data System-Next Generation)を活用して、2018年度のDODと5府省(当該5府省でDOD以外の2018年度の5百万ドル以上の契約の66%を占める)の5百万ドル以上の契約のうちLPTAを採用した案件を抽出し、以下の点に言及しています。

・DODは、5百万ドル超の競争的な調達の25%についてLPTAを採用していた。2017年度の採用率(26%)と同程度であった。

・DODでLPTAを採用している案件は、仕様が明確で単純かつ繰り返し調達する案件であった。

・DOD以外の5府省については、DODに比べて5百万ドル超の競争的な調達がそもそも少なく(例えば農務省の2018年度契約のうち5百万ドル超の契約は1%)、調達手続ごとの契約実績を把握していない府省(国土安全保障省等)もあったが、把握できる範囲では、5百万ドル超の競争的調達の7%についてLPTAを採用していた。

日本では最低価格での調達が原則とされていますが、米国連邦政府では5百万ドル超という大規模案件では、最低価格以外での調達を原則とし、最低価格での調達は限定的に採用するよう求めています。

効果的・効率的な調達に向けてどのような調達手続きが有効か?

日本でも調達規模・調達分野ごとに有効な調達手続きについて、より丁寧な検討が必要かもしれません。

(出典)
Government Accountability Officeウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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