Column145 (10/18):イノベーション調達の競争性(EU)
Column70「イノベーション調達に関する通達(EU)」では、イノベーションの促進に向けて公共調達を活用するEUの取組を紹介しました。
Column80「イノベーション促進に向けた公共調達(8)(EU)」では、政府機関等でニーズがあるものの、市場で販売されていない革新的な製品やサービスを調達するため、政府機関等が製品やサービスの開発・試作を発注するイノベーション調達(Pre-Commercial Procurement、以下「PCP調達」という)の取組と効果を紹介しました。
今回は、PCP調達の競争性について紹介します。
EUでは、研究イノベーション計画“Horizon 2020”の研究開発資金を活用して、29件のPCP調達が実施されています。
2019年5月時点で、この29件のPCP調達のうち12件は終了し、10件はPCP調達を経て本格的な調達に移行、残りの7件は本格的な調達の途中〜最終段階(市場との対話や入札)に至っています。
これらPCP調達の参加状況を見ると、全体としてEU内外の70〜300の企業・研究者が市場調査の段階から参画しています。
また、入札書類等のダウンロード回数は各調達で50〜300回、最終的な入札参加者は平均して10〜50者であるといいます。
さらに、契約段階では312企業、56大学・研究機関と151件の契約が締結され、契約価格は最低450,000ユーロ(約5,400万円)から9百万ユーロ(約10億円)とのことです。
各PCP調達の入札参加者が平均して10〜50者ということですから、高い競争性が確保されていると言えるでしょう。
このような高い競争性の確保には、市場調査の段階からEU内外の70〜300の企業・研究者を巻き込んでいる点が極めて重要だと思います。
透明性・公平性を確保しながら市場との対話を続けつつ、最終的には入札で高い競争性を確保する、このようなスキルが発注者に大いに求められている点でしょう。
(出典)
EUウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
コメントを残す