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2019-09-06

Column139 (09/06):HUBZone Programの実績(米国)

Column5「HUBZone Program (米国)」で紹介したとおり、HUBZoneとは、歴史的低開発地域(historically Underutilized Business Zone)の略称で、HUBZone地域に所在し、一定の条件を満たす中小企業(以下、「HUBZone企業」という)は、米国連邦政府の3,000ドル~150,000ドルの調達(一部例外あり)で優遇を受けることができます。

具体的には、set-aside(中小企業向けの留保)、単独契約(sole selection)の適用、公開競争(full and open contract competition)の価格評価(元請・下請の両方)における10%の優遇(競争相手が明らかに中小企業である場合を除く)です。

HUBZoneプログラムの実施により、困窮地域での雇用創出と投資増加が期待されています。

なお、HUBZone企業は、企業要件や地域要件(※)を基に、定期的に認定が見直され、2019年7月時点で6,897社が認定されています。

※失業率や貧困率等の統計データを基にHUBZone地域を決定。

今回は、HUBZoneプログラムの2018年度実績を紹介します。

2018年度、連邦政府はHUBZone企業と9.8億ドルの契約を締結しています。

このうち約2.3億ドルはHUBZone企業の優遇措置により締結された契約です。以下はその内訳です。

・set-aside(中小企業向けの留保):2.1億ドル

・単独契約(sole selection):112.6百万ドル

・競争の価格評価における優遇(price-evaluation preference):100.7百万ドル

残りの契約のうち、1.8億ドルは公開競争の結果HUBZone企業が契約を獲得したもの、5.7億ドルは他の中小企業向けの優遇措置(女性経営企業に関わる優遇措置等)の適用により締結された契約です。

日本でも、Column138「女性活躍推進に向けた公共調達の活用(7)(日本)」で紹介したとおり、公共調達において女性活躍推進企業を優遇する取組が行われています。

ただし、これらの優遇措置は、価格以外の要素を評価する調達(総合評価落札方式、企画競争方式)における評価項目の優遇といった手段に偏っており、実績の開示も女性活躍推進企業を評価する項目を設定した案件の金額・件数のみです。

例えば、女性活躍推進企業が政府と締結した契約金額全体とその内訳(優遇措置が適用された契約とそれ以外の契約等)等、細かい情報が開示されている訳ではありません。

女性活躍推進企業に向けた公共調達における優遇措置がどの程度、各企業にインパクトを与えているか等、多面的な分析をするためにも、HUBZoneプログラムのように、優遇対象企業の政府との契約全体とその内訳等、多面的な実績を開示していくことは必要ではないでしょうか。

(参考資料)
Congressional Research Serviceウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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