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2019-06-10

Column131 (06/10):HUBZone Programに関する外部評価(米国)

Column5「HUBZone Program (米国)」で紹介したとおり、HUBZoneとは、歴史的低開発地域(historically Underutilized Business Zone)の略称で、HUBZone地域に所在し、一定の条件を満たす中小企業(以下、「HUBZone企業」という)は、米国連邦政府の3,000ドル~150,000ドルの調達(一部例外あり)で優遇を受けることができます。

具体的には、set-aside(中小企業向けの留保)、単独契約(sole selection)の適用、公開競争(full and open contract competition)の価格評価(元請・下請の両方)における10%の優遇(競争相手が明らかに中小企業である場合を除く)です。

なお、HUBZone企業は、企業要件や地域要件(※)を基に、定期的に認定が見直されます。

※失業率や貧困率等の統計データを基にHUBZone地域を決定。

今回は、HUBZoneプログラムの運用に関わる2018年のレポート(米国中小企業庁(Small Business Administration、以下「SBA」と略称)から委託を受けて民間の研究機関が実施した外部評価のレポート)を紹介します。

同レポートでは、連邦政府の契約データを基にしたデータ分析や、HUBZone企業との契約目標(3%)を達成した府省と未達成府省へのインタビュー等により、目標達成の要因等を明らかにしています。

主な内容は以下のとおりです。

・HUBZone企業との契約目標の達成に向けて重要なポイントは、HUBZone企業に関わる幅広いマーケティング活動や連邦政府の調達プロセスに関わる中小企業向けトレーニングの実施等である。

・HUBZone企業との目標が未達成な主な要因は、府省の調達ニーズとHUBZone企業が提供し得るものとに乖離があると府省が認識している点である。これについてはHUBZone企業に関わる更なるマーケティング活動(SBAが提供しているツールを活用したマーケティングの充実等)や企業とのコミュニケーションにより改善の可能性がある。

このように、米国連邦政府では、一定の条件を満たす中小企業を手厚く優遇する反面、これらの優遇措置についてのデータ分析やインタビューに基づく事後評価が比較的丁寧に行われています。

日本でも、中小企業の受注機会の促進等、公共調達における優遇施策が行われています。

ただし、HUBZoneプログラムのように、優遇措置に関わる定量・定性的な検証は積み上げられていません。まずは定性情報であっても評価結果を積み上げていくことは重要でしょう。

(参考資料)
Small Business Administrationウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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