Column129 (05/09):イノベーション促進に向けた公共調達(14)(ドイツ)
Column70「イノベーション調達に関する通達(EU)」やColumn77「イノベーション調達に関する指針(EU)」では、イノベーションの促進に向けて、公共調達を活用するEUの取組を紹介しました。
今回は、ドイツにおけるイノベーション調達の取組を紹介します。
ドイツでは、連邦経済エネルギー省(Federal Ministry of Economic Affairs and Energy)によって、2014年にイノベーション調達を推進する機関(Competence Centre for Innovative Procurement(以下、「KOINNO」という))が設立されました。
KOINNOは、連邦政府の各機関がイノベーティブなモノ・サービス等を調達することを目指して、発注者を対象にしたトレーニングやコンサルティングサービスを無料で提供しています。
個別の調達手続に関するアドバイスだけでなく、調達機関のリストラクチャリングや調達に関わる様々な点もアドバイスしている、とのことです。
また、調達手続、電子調達等に関するイベントの開催やイベントに参加できなかった者を対象としたe-ラーニングの提供、ネットワーク作りのための活動も行っています。
様々な取組のなかで注目したい点は、大学と連携してイノベーション調達に関するデータを収集している点です。
発注者を対象としたイノベーション調達の評価では、イノベーション調達の重要性については発注者の25%が「とても重要」又は「重要」と評価しているものの、イノベーション調達の優先度が低い点を指摘しています。
学術論文では、イノベーション調達に関する定量分析が行われていますが、イノベーション調達を推進するため、政府自ら専門機関と連携してデータを収集し評価を行う姿勢は重要でしょう。
我が国でも、Column126 「イノベーション促進に向けた公共調達(13)(日本)」で紹介したとおり、内閣府がガイドラインを示しイノベーション調達の取組が推進されています。
定量的なデータ収集は我が国の今後の取組として重要ではないでしょうか。
(出典)
PROCURE2 INNOVATEウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
コメントを残す