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2019-04-02

Column125 (04/02):調達分野の決定方法(米国)


Column25「調達政策における主導機関(英国)」では、英国の調達政策において主導的な役割を果たすCrown Commercial Serviceが、中央政府やそれ以外の公的機関17,000超を「調達分野ごとにサポート」する取組を紹介しました。

このように個々の契約だけでなく、調達分野ごとに改善していく方法は、他の国でも採用されているのでしょうか?

米国連邦政府でも取り組まれています。米国連邦政府では“Category Management”と言って、施設管理・建築工事、人材サービス等、各省庁で共通する10の調達分野を特定し、調達分野ごとの改善取組が行なわれています。

この10の調達分野はどのように決定されたのでしょうか?

米国連邦政府では、Column113「調達に関わるデータベース(米国)」で紹介したように、3,000ドル以上の契約ごとに価格や契約相手方等を整理したデータベースがあります。

Category Management Leadership Council(※)と行政予算管理庁は、このデータベースの2014年度データを基にどのようなカテゴリーを設定するか検討し、各省庁の意見も踏まえ、19のカテゴリーを決定したとのことです。

※Category Management Leadership Councilとは、連邦調達政策行政官(Administrator of Federal Procurement Policy)の下に設置された会議で、連邦政府内で調達規模の大きい8省庁(国防総省、エネルギー省、保健社会福祉省、国土安全保障省、退役軍人省、連邦調達庁、NASA、中小企業庁)が参加しています。

19カテゴリーは、10の府省共通的な調達分野(2,750億ドル相当)と9の防衛関係調達分野(1,530億ドル相当)から成ります。

この19カテゴリーを基に、今度はカテゴリーを細分化したモノ・サービスのコード(Product and Service Codes)を作成し、調達データベースの契約ごとにコードが振られたと説明されています。

これにより、各省庁共通の調達分野ごとの金額は?経年での変化は?といった、調達分野ごとの分析データを基に、政府全体での改善取組を検討できるようになったとのことです。

日本でも各省庁の調達改善計画のなかで、情報システム経費等の一部費目の実績が示されています。

ただ、省庁ごとの改善ではなく、政府全体の改善に向けた戦略を検討するためには、米国連邦政府のように、各府省と財政当局が協力して政府全体の調達データを分析し、調達分野を設定して戦略を立てる、といったアプローチも必要かもしれません。

(出典)
General Services Administrationウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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