Column110 (12/05):市場との対話(英国)
Column104「市場との対話(カナダ)」では、調達前に政府と民間企業がどのように対話しているのか?、その方法を事例を基に紹介しました。
具体的には、電子支払いシステムの安定化と人事管理システムの刷新に向けて、カナダ政府が調達の事前公告(notice of proposed procurement)を行い、企業から両システムに関わるイノベーティブな提案を求めた事例です。
今回は、英国で政府と民間企業がどのように対話しているのか?その一つの方法を紹介します。
英国では、毎年、Crown Commercial Service(以下、「CCS」という)等、調達改善を推進する公的機関や企業が協賛する「Public Sector Solutions Expo」が開催されています。
2018年は、11月20日、マンチェスターで開催されました。
Public Sector Solutions Expoは、CCSや地方政府等の公的機関が登壇し、調達の課題や改善点、事例等を紹介します。また、公共調達に関心を有する企業がブースを作り、公的機関の調達担当者へサービスの内容等を説明する場も設けられています。
公的機関の調達担当者にとっては、(具体的な個別案件ではなく)将来の調達に向けて、サプライヤーと事前かつ長期的な関係を構築できる場になっている、とのことです。
2018年のPublic Sector Solutions Expoでは、150超のサプライヤーがブースを構えるとともに、国や地方政府の調達責任者等100名超が登壇しています。
日本でも、パブリックコメントでIT調達等、個別の調達案件に限定せずに広いテーマについて意見を求めるケースはあります。
ただし、効果的・効率的な調達について、国、地方、企業等、幅広い関係者が一堂に介し、調達の課題や改善点について議論し、好事例を共有したり、ネットワークを構築したりする場はないように思います。
ただ集うだけでなく、いかに有意義な議論やネットワークが形成できるかが重要ですが、英国のように、幅広い参加者が集い、透明性の高い形で公的機関と企業の関係をいかに構築・活性化していくか、重要な観点ではないでしょうか。
(出典)
Public Sector Solutions Expoウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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