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2018-10-13

Column106 (10/13):イノベーション促進に向けた公共調達(10)(日本)

Column52「イノベーション促進に向けた公共調達(カナダ)(1)」Column53「イノベーション促進に向けた公共調達(カナダ)(2)」では、カナダにおける付帯的政策、具体的には、イノベーションを促進するための公共調達の取組「Build in Canada Innovation Program」のプロセスと同プログラムのポイントを紹介しました。

このプログラムは、連邦政府が、市場で販売されていない製品やサービスの革新性を評価し、革新性が評価されたものについては、連邦政府がそれを調達し、製品・サービスを利用した結果を企業等(NPO、大学等も含む)へフィードバックするというものです。

このような、市場では提供されていない製品やサービスを公的機関が調達することで、イノベーションを促進する取組は、日本でも行われているのでしょうか?

Column96「イノベーション促進に向けた公共調達(9)(日本)」では、類似の国の取組として、内閣府オープンイノベーションチャレンジ(中小・ベンチャー企業による公共調達の活用推進プログラム)を紹介しました。

今回は、地方公共団体の取組として、神戸市「Urban Innovation KOBE」を紹介します。

同プログラムは、神戸市とスタートアップ企業が協働して、神戸市の課題解決策を検討し、開発した解決策について実証実験を行うものです。実証実験の結果が良好な場合は、本格的に神戸市が製品やサービスを調達するフェーズに進みます。

2018年度下期は、以下のテーマについて、スタートアップ企業からの提案を受け付けています。

・毎月手作業で行っている給与関係の届出に対する処理の自動化実証
・「AI × IoT × 空調設備」故障検知の実証実験
・洋菓子の街歩きを楽しくする! 神戸スイーツの革新的プロモーション実証実験
・市民の防災意識を向上!水災害VRの実証開発
・AI × 自動読み上げで災害情報を多言語で発信!
・女性の社会参画に向けたリカレント教育のニーズ検証
・小学校教員向けプログラミング教育指導者研修プランの開発

スタートアップ企業からの提案は、書類審査や面談により審査され、提案が採択された企業は、外部の有識者(専門性を有するメンター)のメンタリングを受けつつ、市職員と協働して開発を進めます。

また、開発に際しての資金的な支援として、最大50万円が支給されます。

2018年度下期のテーマを見ると、新たな提案を受け付けなくとも、既存の技術を活用すれば解決策が検討できるのでは?という疑問は沸きますが、果たしてこのような取組で、イノベーションが促進され、公的機関の業務改善も達成されるのか?、注目に値するのではないでしょうか。

(出典)
神戸市ウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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