Column95 (5/27):DODにおける数量未確定契約の状況(米国)
米国連邦政府の調達規則では、調達時期や発注量が未確定な案件について、発注者が複数の受注者と基本契約を締結し、個々の発注ニーズに応じて入札等を行う数量未確定契約(Indefinite Delivery Indefinite Quantity Contract)が認められています。
Column87「人件費単価のデータベース(米国)」では、連邦調達庁(General Services Administration、以下「GSA」という)が、GSA Schedule Contractという、政府横断的な、複数者との数量未確定契約を締結していることを紹介しました。
今回は、2015〜2017年度に国防総省(Department of Defense)で締結された、数量未確定契約の状況を紹介します。
・国防総省の契約の約40%(金額ベース)は、数量未確定契約であった。(金額にして約1,000億ドル/年度)
・締結された数量未確定契約の約70%(金額ベース)は、複数者ではなく、一者との契約であった。
・複数者の数量未確定契約の大部分で、個々の発注ニーズに基づく入札等は(明確に制限している訳ではないが)中小企業の参加促進やbest valueの実現のため、参加可能な事業者を制限していた。
数量未確定契約は、一定の条件に基づき、一者との基本契約も可能とされていますが、可能な限り複数の受注者と契約することとされています。
それにも関わらず、国防総省の数量未確定契約の約70%が一者との契約であり、複数者との契約においても個別の入札等が競争制限的である、という点は注目に値するでしょう。
防衛調達における競争性をいかに確保するか、英国ではSingle Source Regulations Officeの設置等の取組(Column73「英国国防省における非競争的な契約(2)(英国)」を参照)がされていましたが、米国でもどのような工夫がなされているのか、別の機会に紹介したいと思います。
(参考資料)
Government Accountability Officeウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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