Column93 (5/14):上下水道のフレームワーク合意の事例(英国)
Column42「上下水道のフレームワーク合意(英国)」では、2017年4月3日から、英国で新たに導入された上下水道のフレームワーク合意について紹介しました。
今回は、上下水道のフレームワーク合意を活用したセントラル・ランカシャー大学の事例を紹介します。
はじめに、フレームワーク合意とは、「2006年の英国公共契約規則に規定された“長期指名候補者と事前合意制度”のことで、長期指名候補者(フレームワーク企業)を選定した上で、これら企業との間で4年を限度とする一定期間内の個別発注(コールオフ)に関する受注者及び契約額の決定方法、契約条件等(フレームワーク)に予め同意する方式」です。
英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、CCSという)は、様々なモノ・サービスを公的機関に提供するYPO、Eastern Shires Purchasing Organisation (ESPO)、North East Procurement Organisation (NEPO)や、公的機関に各種エネルギーを供給するWest Mercia Energy社、The Energy Consortium及び国防省と協力し、英国で最大規模の上下水道に関わるフレームワーク合意を結びました。
セントラル・ランカシャー大学(生徒・スタッフ数約38,000名)は、英国内に立地する全施設の水道料金を節約するため、上下水道に関わるフレームワーク合意を活用することを決定しました。
CCSは、フレームワーク合意の手続きをサポートしますが、フレームワーク合意企業間の競争促進等を目的として、セントラル・ランカシャー大学を含む122機関の発注を取りまとめ、フレームワーク合意を活用した共同調達を実施した、とのことです。
競争の結果、フレームワーク合意企業の1社であるCastle Water社が受注者となり、セントラル・ランカシャー大学は、英国内の全施設の水道事業者をCastle Water社1社に切り替え、初年度に25,500ポンド(約380万円)の節約を達成した、と報告されています。
日本でも、電力・ガス小売全面自由化により、電力・ガス調達において競争性を高めるための取組が推進されています。
現在は、随意契約から一般競争入札への変更や、複数庁舎のエネルギー需要をまとめて発注する等の取組が進められていますが、加えて、複数年での契約等、契約方法を工夫することも考えられるかもしれません。
(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
国土技術政策総合研究所資料第908号「英国・米国における包括・個別二段階契約方式-フレームワーク合意方式(FA)と数量未確定契約方式(ID/IQ)-」
内閣官房ウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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