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2018-03-22

Column87 (3/22):人件費単価のデータベース(米国)

公共調達の改善において、発注者が類似した契約の調達価格を把握し、新たな調達の契約方法や予定価格等を検討できる環境を整備することは重要だと思います。

米国連邦政府では、連邦調達庁(General Services Administration、以下「GSA」という)が、一部の契約の人件費単価のデータベース(Contract Awarded Labor Category Tool、以下「CALC」という)を作成しています。

今回は、このCALCの取組概要を紹介します。

はじめに、GSAは、GSA Schedule Contractという、政府横断的な、複数者との数量未確定契約を締結しています。

具体的には、GSAが、複数の事業者と数量未確定契約(調達時期や数量が未確定な包括契約)を締結し、各省庁の発注者は個々のニーズに応じて、複数の事業者間での入札等を行い個別の契約を締結します。

Column86「クラウドサービスに関するフレームワーク合意(英国)」等で紹介した、英国中央政府のフレームワーク合意と類似の取組と言えるかもしれません。

GSAは、GSA Schedule ContractのうちInformation Technology等の複数のカテゴリーに該当する5,000件超の契約で定められた約56,000職種(Senior Engineer等)の人件費単価(時間単価)をCALCとしてデータベース化しています。

特徴的な点は、CALCは、職種毎の人件費単価の平均等を一目で把握することができるとともに、職種毎に一定の項目(経験年数、教育水準)でソートすることができ、同一職種でもどの程度の経験、教育水準を求めると、どの会社がどの程度の時間単価を提示しているかといった情報が提供されている、という点です。

もちろん、GSAの内部監査部局が指摘しているように、CALCは、数量未確定契約の価格をデータベース化しているため、各省庁が実際に締結した個別契約の契約価格ではなく、価格の背景となる専門的なスキル等の詳細を一目で比較できるものでもありません。

しかし、同一職種での価格の幅といった発注者及び公共調達への参加を検討する事業者の相場観を養うことにはなると思います。

日本では、公共工事については、公共建築工事標準単価積算基準といった単価基準が設定されていますが、それ以外の役務契約についての人件費単価の標準は設定されていません。

最終的な人件費単価は個々の契約の内容に応じて決定されるものだと思いますが、工事以外の分野についても、人件費単価の相場観を養うようなツールを提供することは必要かもしれません。

(出典)
General Services Administrationウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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