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2018-02-15

Column85 (2/15):行動科学の政策への活用に関わるフレームワーク合意(英国)

Column82「プリンター等のフレームワーク合意の活用事例(英国)」では、英国保健省が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Public Health England(以下、「PHE」という)のプリンター等の調達に関わるフレームワーク合意の活用事例を紹介しました。

はじめに、フレームワーク合意とは、「2006年の英国公共契約規則に規定された“長期指名候補者と事前合意制度”のことで、長期指名候補者(フレームワーク企業)を選定した上で、これら企業との間で4年を限度とする一定期間内の個別発注(コールオフ)に関する受注者及び契約額の決定方法、契約条件等(フレームワーク)に予め同意する方式」です。

今回は、行動科学の政策への活用を促進するため、企業等とフレームワーク合意を締結した事例を紹介します。

英国では、2010年に内閣府の下にBehavioural Insights Teamが設置される等、行動科学の知見を政策に活用した取組が進められています。

このような行動科学の政策への活用を、中央政府やNHSトラスト、地方自治体等、幅広い機関で一定水準を確保した上で展開するため、中小企業(2社)、大学を含む以下の6機関と、2018年5月から2021年4月までのフレームワーク合意を締結しています。

・BEHAVIOURAL INSIGHTS LTD
・CFE (Research and Consulting) Ltd
・McKinsey and Company, Inc. United Kingdom
・Mori Ltd T/A Ipsos Mori
・Sheffield Hallam University
・TNS UK Ltd T/A Kantar Public

なお、フレームワーク合意による契約は向こう4年間で16百万ポンドと予想されています。

日本でも、環境省が中心となり、2017年4月に日本版ナッジ・ユニットが設置され、行動科学を活用した取組に関する方法論の共有や、環境・エネルギー、健康・医療等の様々な分野において、行動科学を活用することについての検討が始められています。

日本で2017年度に実施された環境省ナッジ事業は(例えば、「家電・自動車等利用に関するナッジを活用した低炭素型行動変容モデルの構築」をデロイトトーマツコンサルティングが代表事業者として実施等)、公募により事業実施者が決定されています。

英国では、既にこの分野についての一定の蓄積があるため、事業ごとの公募ではなく、上記のようなフレームワーク合意が可能になったと思いますが、行動科学の政策への活用といった、“早期に促進したい取組について、幅広い機関で一定の水準を確保した調達を実現するためフレームワーク合意を活用する”、といった視点は興味深い点ではないかと思います。

(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
環境省ウェブサイト
国土技術政策総合研究所資料第908号「英国・米国における包括・個別二段階契約方式-フレームワーク合意方式(FA)と数量未確定契約方式(ID/IQ)-」

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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