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2018-02-08

Column84 (2/8):SBIR/STTRの参加要件(米国)

Column62「イノベーション促進に向けた公共調達(5)(米国)」では、イノベーションの促進に向けて公共調達を活用する、米国連邦政府の取組を紹介しました。

米国連邦政府において、中小企業のイノベーションを促進・支援する主な制度は、Small Business Innovation Research(以下、「SBIR」と略称)と、Small Business Technology Transfer(以下、「STTR」と略称)です。

SBIR、STTRは共に、連邦政府研究開発費により、技術力を有する中小企業の研究開発・商用化を促進するためのプログラムです。

両プログラムの主な内容は、Column62「イノベーション促進に向けた公共調達(5)(米国)」で紹介していますので、今回は、SBIR、STTRに参加する際に設けられた要件の一部を紹介します。

SBIR、STTRでは、過去に両プログラムを利用した一部の企業を対象に、最低限のパフォーマンス基準を設定しています。

具体的には、以下の2つのベンチマークを設定し、これを満たさない企業は、新たに第一段階の競争的プロセスに参加することはできないこととされています。

1)Transition Rate Benchmark
・SBIR、STTRは、共に3段階の競争的なプロセスを用意しています。第一段階は中小企業が技術的なメリットや商業化の可能性を検証する段階、第二段階は第一段階の結果を基に、引き続き、中小企業が技術的なメリットや商業化の可能性を検証する段階、第三段階は第一段階、第二段階の結果を基に、研究開発の商業化を目的とする段階です。

・Transition Rate Benchmarkは、(直近年を除く)過去5年間に、第一段階の競争的プロセスを20件超利用している企業について、第一段階の競争的プロセスから第二段階へ移行しているか?、研究開発が進捗しているか?を評価する指標です。第一段階から第二段階への移行率は少なくとも0.25%(第一段階4回のうち1回は第二段階へ進むこと)であることとされています。

2)Commercialization Benchmark
・Commercialization Benchmarkは、(直近2年を除く)過去10年間に、第二段階の競争的プロセスを15回超利用している企業について、第二段階の競争的プロセスに進んだ技術ごとに、少なくとも平均100,000ドルの売上や投資を受けていること、または同期間に利用した第二段階の回数の15%程度(又は以上)の多数の特許を獲得していることとされています。

日本でも様々な企業の研究開発を対象とした支援施策がありますが、最低限のパフォーマンスを確保するために、上記のように、過去の参加実績を踏まえた一定の参加要件を設ける方法等も考えられるかもしれません。

(出典)
Small Business Administrationウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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