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2017-11-28

Column75 (11/28):建物管理の新たな手法(米国)

Column71「イノベーション促進に向けた公共調達(6)(米国)」では、米国連邦政府の中で最も調達金額の高い機関、国防総省(Department of Defense)のイノベーション促進に向けた取組を紹介しました。

今回は、連邦調達庁(General Services Administration、以下「GSA」という)の建物管理に関わるプログラム(GSA’s Proving Ground Program、以下「GPGプログラム」という)を紹介します。

GPGプログラムは、政府横断的なイニシアチブの一つである“Sustainability”の取組(環境目標を達成するための種々の取組)の一環として、実施されています。

具体的には、外部有識者と共に、商業前又は商業初期の新たな建物管理等に関わる技術をテストするプログラムで、2011年から実施されています。

同プログラムのテスト結果に基づき、GSAは連邦政府の所有する建物に関わる次世代の管理手法(エネルギー効率の高い新たな管理手法等)を決定することが可能になるとともに、優れた技術が商業ベースで活用されるきっかけをつくっている、とのことです。

これまで、数十の技術が検証され、外部有識者による評価結果が良好だった9つの手法は、GSAの管理する200の建物で採用されている、と報告されています。

直近では、GSAとエネルギー省(Department of Energy)が共同で、以下の要件に該当する建物管理等に関わる技術を募集しています。

・民間建物の運営コストを低減する可能性があること
・技術の初期段階の検証結果を明らかにできること
・技術活用の意思決定に資するエビデンス等を示せる可能性があること

もちろん、日本の中央政府でも、中央省庁(霞が関等)の施設管理については、公共サービス改革法等の適用により、複数年契約で民間事業者の創意工夫を引き出す取組が進められています。

しかし、民間建物への転用も視野に入れて、連邦政府の建物で、技術の革新性を試行・検証し、優れた技術については連邦政府の建物で実際に技術を活用(調達)する、といった公共調達を活用した取組は行われておらず、このような取組が米国連邦政府では、建物管理の分野でも取り組まれている、ということは注目に値するのではないでしょうか。

(出典)
General Services Administrationウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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