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2017-11-23

Column74 (11/23):英国国防省における非競争的な契約の実績(英国)

Column38「英国国防省における競争性の無い契約(英国)」では、英国国防省(Ministry of Defence、以下、「MOD」という)の競争性の無い契約に係る2001年の検査事例、Column73 「英国国防省における非競争的な契約(2)(英国)」では、MODの非競争的な契約に関わる規制枠組みを紹介しました。

今回は、MODの装備品契約における過去5年間の非競争的な契約の実績を紹介します。

1.件数割合(各年度の割合は、競争的な契約・非競争的な契約の順)
・2012年度:44%、56%
・2013年度:51%、49%
・2014年度:51%、49%
・2015年度:51%、49%
・2016年度:49%、51%

競争的な契約、非競争的な契約件数の割合は、ほぼ50%で推移しています。

2.金額割合(各年度の割合は、競争的な契約・非競争的な契約の順)
・2012年度:34%、66%
・2013年度:25%、75%
・2014年度:42%、58%
・2015年度:76%、24%
・2016年度:52%、48%

一方、契約金額の割合は、年度ごとに変動があります。2013年度は競争的な契約金額の割合が25%だったものの、2015年度は76%まで増加しています。

2017年8月21日時点の非競争的な契約を以下の4つの契約金額区分で分類すると、400百万ポンド超の大規模案件が、非競争的な契約金額全体の57%を占めており、これらの競争性の有無により、契約金額ベースの競争性の割合が大きく増減する、と説明されています。

・分類A(400百万ポンド超):22件、(非競争的な契約に占める割合)57%
・分類B(100~400百万ポンド):40件、20%
・分類C(20~100百万ポンド):127件、14%
・分類D(20百万ポンド未満):1,702件、9%

日本においても、平成25年4月に「調達改善の取組の推進について」が決定され、政府全体として調達改善の取組が推進されています。

一者応札の改善は、調達改善の取組の一つに含まれており、各省庁では、一者応札の要因分析や改善取組が進められています。

平成19年度以降、一者応札の件数割合は13%から17%の範囲で推移しています。

日本では、英国中央政府のように、契約金額区分ごとの一者応札の実績は公表されていませんが、透明性の向上及び限られた人的資源を有効に活用するための基礎資料を作成する、という意味では、契約金額区分ごとの実績を整理・公表し、契約金額の大きい一者応札案件により多くの人的資源を投入し、改善成果を示す等、一者応札の改善の金額的なインパクトを踏まえた人的資源の活用方法を試行錯誤することも必要な段階かもしれません。(もちろん一者応札の改善取組の幅広い浸透という意味で、小規模案件も含めた一者応札の改善にも一定程度の人的資源を投入する必要はあると思います)
 
(参考資料)
National Audit Officeウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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