Column69 (10/24):各国の公共調達に関する評価(OECD)
Column48「公共調達の評価(EU)」では、EUが実施している、公共調達全般に関わる評価の仕組みを紹介しました。
今回は、OECDが提供している、公共調達全般に関わる評価の仕組み(Methodology for Assessing Procurement Systems、以下「MAPS」という)を取り上げます。
初めに、MAPSは2003年に創設され、現在、60カ国で使用されている、と報告されています(なお、本年秋に最終改訂版が公表される予定)。
公共調達を評価する際の視点は、大きく4つで、この4つの視点の下に14の指標と55のサブ指標及び評価尺度が設定されています。
・公共調達を規定する法律や政策の枠組み(指標3、サブ指標18)
・制度的な枠組みとマネジメント能力(指標5、サブ指標14)
・調達のオペレーションと市場の競争性(指標2、サブ指標6)
・調達制度に関する説明責任や透明性等(指標4、サブ指標17)
例えば、「制度的な枠組みとマネジメント能力」については、5つの指標と14のサブ指標が設定されていますが、このうちの一つの指標、サブ指標、評価尺度の組み合わせを例示すると、以下のとおりです。
(評価項目:制度的な枠組みとマネジメント能力)
指標:効果的・効率的に調達情報が提供されていること
・サブ指標:ITを活用した調達情報の公表
・評価尺度(定性):調達情報が容易にアクセスできること、コストを掛けずに最新かつ一元化された情報が入手できること/等
・評価尺度(定量):作成を義務付けられた調達計画のうち公表している割合、全契約のうち調達サイクルに沿って重要な調達情報を公表している割合(入札公告、契約情報(受注者、価格等)、契約の詳細(実施計画、支払い等))/等
日本でも各府省庁等において調達改善の取組が進められ、各府省庁等の調達改善計画において、契約種別毎の実績や一般競争入札における一者応札の割合等が示されています。
競争性等の観点から、一者応札の割合に注目が集まることが多いように思いますが、調達全体の取組を評価するためには、調達情報の公表状況等、調達サイクルに沿って、多面的に調達改善の取組を評価することも重要ではないでしょうか。
(出典)
OECDウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
コメントを残す