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2017-10-16

Column68 (10/16):共同調達による価格低減(英国)

日本では、汎用的な物品・役務の調達において、スケールメリットの活用や事務の省力化を図る観点から、複数省庁等による共同調達・一括調達が推進されています。

英国でも複数省庁等による共同調達が行われており、具体的には、英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、「CCS」という)が、モノ・サービスの共同調達の取りまとめを行っています。

Column55「共同調達の品目拡大」では、日本と英国で共同調達のプロセス(共同調達の品目、参加機関を決定するプロセス)が異なる点を紹介しました。

今回は、共同調達により価格が低減したと報告されている、“電話回線サービス(mobile voice and data service)”の共同調達の事例を紹介します。

CCSの共同調達担当チーム(aggregation team)は、定期的に、汎用的なモノ・サービスの共同調達の取りまとめ・推進を行っています。

参加機関は、共同調達の参加に当たっての金銭的負担はなく、当該時点での調達実績等の詳細をCCSに示すのみです。

そのため、各機関は、参加に当たっての多大なコストは発生しない訳ですが、CCSは、数多くの機関の参加を促すため、共同調達の参加によるメリットを示した、“indicative savings analysis template”を示しています。

具体的には、現在の調達価格と共同調達により調達した場合の価格を比較した、価格低減の予測値を評価して、各機関に提示しているのです。

今回の電話回線サービスの共同調達でも、“indicative savings analysis template”が提示され、最終的に17機関が共同調達に参加しています。

全体として、21,000超の電話回線が調達対象となり、価格と質の両方を評価する入札の結果、従前の調達価格と比較して、年間約135万ポンド(約2億円)の価格低減が実現し、契約条件においても有利な条件が引き出せた(既存の電話回線契約が終了した場合の移設工事を含む、1年間の契約延長オプション付与等)、と報告されています。

日本でも当然、電話回線サービスの調達は行われており、サービスの内容として、機関ごとに特別な違いは無いように思います。

調達量を増やし過ぎることで、逆に競争性が確保できなくなる可能性もあるため、丁寧な市場調査により適当な調達量の見極めが必要ですが、調達対象に大きな違いがなく、共同調達の実施可能性があるものについては、現状の共同調達の対象(コピー用紙等のモノや、クリーニング、速記等のサービス)を拡大する、または現在の共同調達であまり効果が見込めないものは見直す等の継続的な検討は重要でしょう。

(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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