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2017-10-05

Column67 (10/05):外国新聞等の調達に関する会計検査

Column59「人的役務契約に関わる検査事例(米国)」等では、米国会計検査院の検査事例を紹介しました。

今回は、日本の会計検査院の直近の検査事例(平成27年度)の中から、国立国会図書館の「外国新聞等の調達」に関する検査事例を紹介します。

〇概要
・国立国会図書館では、主に国内の書店や代理店等の出版取次業者から、外国新聞や外国で定期的に発行されている雑誌等(以下、「外国逐次刊行物」という)を調達。

〇検査対象
・会計検査院は、合規性、経済性等の観点から、東京本館、関西館で調達した外国逐次刊行物3,946誌、支払額計9億5,492万余円を対象として、契約書類等を確認。

〇検査結果
・国立国会図書館は、外国逐次刊行物を、全て少額随契により調達。
・少額随契とした理由について、国立国会図書館は、「外国の各分野にわたる外国逐次刊行物を発行する出版社と取引のある取次業者が限られていることなどから、前年に購入実績のある取次業者等から少額随契で購入することが最も安定的かつ確実であるため」(平成26年度会計検査事例)と説明。
・会計検査院が、平成26年度の複数の出版取次業者における取扱いの有無を確認した結果、特定の取次業者1社から調達せざるを得ないものは、266誌、支払額計 2,319万余円。残りの3,680誌、支払額計9億3,173万余円は、新聞、雑誌等の種類別に一括した上で、複数の出版取次業者から参考見積を徴取する方法や、購入価格実績で予定価格を算出し一般競争に付すことができたと認定。
・それにも関わらず、全て少額随契により調達していたことは、国の会計法令等に照らして適切ではなく、公正性、競争性等を確保する面からみても改善の必要あり。

〇改善処置
・複数の出版取次業者における取扱いの有無を確認した上で、新聞、雑誌等の種類別に一括する等して一般競争に付すこととする処置。

このような外国逐次刊行物や各種データベース等は、数多くの公的機関で調達しているモノだと思います。

一見すると調達での工夫は難しく、随意契約に馴染むようにも思えますが、きちんと市場調査をすると、複数の書店や出版取次業者から見積りを徴取したり、種類別の一括調達をした上で一般競争に付したりする方法等が可能であることが示されています。

現在、国の行政機関では、随意契約から一般競争への見直し、また逆に一般競争から随意契約への見直し等、両方向での見直しが進められています。

一見すると調達での工夫は難しいと思われるものでも、きちんと市場調査を行うことで、競争が可能になるもの、また逆に競争が難しいものもあるかもしれません。

継続的な市場調査と契約方法の見直しは重要な取組でしょう。

(出典)
会計検査院ウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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