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2017-08-22

Column61 (08/22):公共調達における付帯的政策(カナダ)

Column5「HUBZone Program (米国)」では、米国連邦政府のHUBZoneプログラムを紹介しました。

HUBZoneとは、歴史的低開発地域(historically Underutilized Business Zone)の略称で、インディアン居留地の境界地域や閉鎖基地地域などを指し、HUBZone契約の資格を有する中小企業に対するset-asideや単独契約(sole selection)の適用、公開競争(full and open contract competition)の価格評価(元請・下請の両方)における10%の優遇が行われます。

このような優遇措置により、HUBZoneの経済発展・雇用促進を達成することを目的としているのです。

カナダ連邦政府でも、先住民の生活や福祉の改善に向けた手段として、公共調達が活用されています。

具体的には、連邦政府の調達において、先住民の経営する企業(約37,000社)の参加が少ないという認識の下、これら企業の参加を促すため、1996年からProcurement Strategy for Aboriginal Business(以下、「PSAB」と略称)が掲げられています。

主な取組内容と対象となる企業の要件は、以下のとおりです。

<主な取組内容>
1)set-aside(先住民の経営する企業向けの留保)
set-asideは、義務的set-asideと、自主的set-asideの2つが存在します。

・義務的set-asideでは、主に先住民へ提供されるサービスのうち5,000ドル以上の全てのサービスは、先住民の経営する企業へ発注されます。ただし、競争性の確保やbest valueの達成等、通常、調達において適用される原則は同じく適用されるため、先住民の経営する企業間での競争等も求められています。

・自主的set-asideは、発注者が先住民の経営する企業へset-asideを行うか、自主的に判断するものです。

2)共同体による参加促進
先住民の経営する企業同士又はそれ以外の企業との共同体による参加が促進されています。

3)再委託の促進
(元請契約が国際通商協定の対象でない場合)元請け契約者が再委託をする際には、先住民の経営する企業を再委託先とするよう促されています。

4)先住民の経営する企業及び発注者への周知
先住民の経営する企業に対して、連邦政府の調達への参加機会や契約手続きについて周知するとともに、発注者に対して、先住民の経営する企業を把握するための方法等(Supplier Registrations Inventory等)が周知されています。

<対象となる企業の要件>
・先住民により51%以上所有・統制されている企業

・6名以上のフルタイム社員がいる場合、少なくとも3分の1は先住民から構成される企業

上記のような取組等により、これまでに先住民の経営する企業と100,000件以上の契約が結ばれ、契約金額は33億ドルに達していると言われています。

(出典)
Indigenous and Northern Affairs Canadaウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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