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2017-08-19

Column60 (08/19):調達改善の実績(英国)

英国では、Column22「公共調達に関する制度(英国)」Column25「調達政策における主導機関(英国)」で紹介したとおり、内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、「CCS」と略称)が、調達政策の主導的な役割を果たしています。

具体的には、中央政府や地方政府、それ以外の公的機関が共通して調達するモノ・サービスのフレームワーク契約(※)に関わる調整等、各機関の調達改善に向けた様々なサポートをしています。

※フレームワーク合意とは、「2006年の英国公共契約規則に規定された“長期指名候補者と事前合意制度”のことで、長期指名候補者(フレームワーク企業)を選定した上で、これら企業との間で4年を限度とする一定期間内の個別発注(コールオフ)に関する受注者及び契約額の決定方法、契約条件等(フレームワーク)に予め同意する方式」です。

今回は、このCCSの2016年度年次報告書・財務諸表を基に、2016年度の主な実績を紹介します。

・CCSによるサポートを経て調達されたモノ・サービス(フレームワーク契約により調達されたモノ・サービスを含む)は、124億ポンド。このうち中央政府は60億ポンド、それ以外の公的機関は64億ポンド

・中央政府の調達におけるコスト節約等のベネフィットは、430百万ポンド。それ以外の公的機関は295百万ポンド

では、どのような分野でコスト節約等のベネフィットが発生したのでしょうか?年次報告書・財務諸表では、以下が例示されています。

・地方政府の保険加入について、50万ポンドのコスト節約が実現

・運輸省(Department for Transport)のコミュニティミニバスの調達について、競争性の向上により、2.3百万ポンドのコスト節約が実現

・警察22機関の2,800台の車両購入について、50億ポンドのコスト節約が実現

・NHSトラスト3機関の代理医師(medical locums)の採用について、フレームワーク契約の活用により、90億ポンドのコスト節約が実現

保険加入から代理医師の採用に至る、幅広いモノ・サービスについて、また、中央政府や地方政府等の幅広い公的機関について、CCSが調達をサポートし、コスト節約が実現しているとのことですが、今後もCrown Marketplace等、更なる改善に向けた取組が示されています。

日本でも、政府の調達改善については、内閣官房が推進役となって取組が進められていますが、地方公共団体等の幅広い公的機関における改善取組の情報共有・連携が行われている、とは言い難い状況です。

更なる改善に向けて、幅広い公的機関等での取組の共有や連携も必要かもしれません。

(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
国土技術政策総合研究所資料第908号「英国・米国における包括・個別二段階契約方式-フレームワーク合意方式(FA)と数量未確定契約方式(ID/IQ)-」

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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