Column58 (07/27):中小企業の受注機会の増大
日本では、Column2「公共調達に関する制度」で紹介したとおり、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(官公需法)」(昭和41年法律第97号)があり、国等が物件の買入れ等の契約を締結する場合に、新規中小企業者をはじめとする中小企業者の受注機会を確保するための措置を講じています。
この官公需法に基づき、一昨日(2017年7月25日)、平成29年度の「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」が閣議決定されました。
平成29年度の基本方針の主な内容は、以下のとおりです。
・中小企業・小規模事業者向け契約目標額を3兆8,185億円(官公需総額6兆9,347億円)、同契約目標比率を55.1%と設定
※平成28年度の契約目標額は3兆8,565億円(官公需総額7兆4,496億円)、同契約目標率は51.8%
・官公需総額に占める創業10年未満の新規中小企業者向け契約の割合を、平成26年度(推計1%)と比較して平成29年度までの3年間で倍増する、という目標達成に向けて継続して取り組む
・新たな取組として、以下を追加
a) 国等は、知的財産権の財産的価値について十分に配慮した契約内容とするように努めること
b) 特に人件費比率の高い役務契約に対しては、業務内容に応じて部分払いを行うよう配慮することに努めること
c) 年度途中に最低賃金額の改定があった場合は適正な価格で契約金額の見直しが行われるよう検討し対応するように努めること
注目したいのは、新規中小企業向けの契約目標と契約実績です。
新規中小企業者向け契約目標は、平成26年度(推計1%)と比べ3年間で倍増する、というものですが、平成28年度契約実績は1,278億円、官公需総額に占める割合は1.72%と、倍増の目標達成に向けて進展しています。
多くの府省等では、庁費類(汎用的な物品・役務)の調達の見直しとして、少額随意契約に係るオープンカウンター方式(会計課等の調達窓口に仕様書等を置き、窓口に置かれた投函箱等に見積書を提出する方式)が導入され、少額随意契約の見積合せに新規事業者が参加し得るようになる等、目標達成に関連する各種の取組が進められています。
最終的に新規中小企業者向け契約目標が達成されるかされないかは分かりませんが、いずれにしても、目標達成に向けた各府省等の取組を整理し、その上で、取組のうち目標達成に向け効果があったものは何か?、という視点で、目標達成状況の丁寧な分析を行うことは非常に重要だと思います。
(参考資料)
中小企業庁ウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
コメントを残す