Column55 (07/02):共同調達の品目拡大(日本)
日本では、汎用的な物品・役務の調達において、スケールメリットの活用や事務の省力化を図る観点から、複数省庁等による共同調達・一括調達が推進されています。
英国でも複数省庁等による共同調達が行われており、具体的には、英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、「CCS」という)が、モノ・サービスの共同調達の取りまとめを行っています。
ただし、両者の共同調達のプロセスは異なります。
共同調達の品目、参加機関を決定するプロセスが異なるのです。
日本では、平成21年1月に策定された「一括調達の運用ルール」(平成21年1月16日各府省等申合せ)に基づき、これまでに様々なモノ・サービス(事務消耗品、コピー用紙、速記、クリーニング等)の共同調達が行われてきました。
日本の共同調達では、予め、霞が関に所在する機関や地方支分部局をいくつかのグループに分け、決められたグループで共同調達できる品目を協議し、グループ内の幹事官庁が数量をまとめて発注しています。
一方、英国では、ある機関が調達を予定しているモノ・サービスの共同調達に参加する機関をCCSが募集し、仕様等の調整を行い、数量をまとめて発注しています。
予め、発注機関をグループ分けして共同調達を実施している訳ではないのです。
例えば、2017年7月に、英国で実施予定の車両の共同調達(普通自動車、ミニバス等の新規購入及びリース)では、6月14日を期限として、全ての公的機関、第三セクターに対して共同調達への参加を呼び掛けています。
もちろん、各機関で希望する車両の仕様は異なるため、CCSが仕様の標準化等を行った上で共同調達を行う、とのことです。
このように、CCSが発注の取りまとめを担うため、参加機関においては、調達手続きの簡素化が実現する、と言われています。
予め発注機関をグループ分けした方が、事務手続きが簡素化される面もあると思いますが、一方で、グループ内での品目、数量、仕様の調整しか行うことはできず、経済性が存分に発揮できているか、と言われれば改善の余地はあるかもしれません。
日本にはCCSと同じ機能を有する機関が存在しないため、共同調達の全品目ごとに参加機関を募集し、取りまとめることは事務コストがかかりますが、未だ共同調達が行われていない、新たな品目の拡大を検討する際には、既存のグループ分けを前提とせず、品目ごとに共同調達の参加機関を募る方法も一案かもしれません。
(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
内閣官房ウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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