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2017-05-01

Column47 (05/01):Mentor-Protégé Programに関する検査事例(米国)

Column16「公共調達における付帯的政策(2)(米国)」Column43「付帯的政策に関わる評価(3)(米国)」で紹介したとおり、米国連邦政府では、調達における中小企業を対象とした支援プログラムの1つとして、「Mentor-Protégé Program」を実施しています。

具体的には、一定の要件を満たすメンター企業と中小企業の両方を募集し、要件を満たしたメンター企業が、支援対象となる中小企業に、会計やマーケティング等の経営面の支援、投資や貸付等の財務面での支援、共同体での応札等の調達面での支援等、各種経営支援を行うものです。

メンター企業と支援を受ける中小企業は、事前に支援の目標及び目標に向けての計画やタイムライン等に合意(Mentor-Protégé Agreements)し、メンター企業の再委託先又は官公庁等の元請け事業者としての能力向上等を目指します。

今回は、Mentor-Protégé Programの運用について検査した米国会計検査院(Government Accountability Office、以下「GAO」という)のレポート、“DOD Should Take Actions to Ensure That Its Pilot Mentor-Protégé Program Enhances the Capabilities of Protégé Firms”(2017)を紹介します。

GAOのレポートでは、以下の点等を検査しています。

1)DODの各部局は、国防省(Department of Defense、以下「DOD」という)の規則等に沿ってMentor-Protégé Agreementsの承認手続きを行っているか?

2)DODは、Mentor-Protégé Programに係る業績指標を適切に設定しているか?

それぞれの検査結果を簡単にまとめると以下のとおりです。

1)GAOは、DODの規則やポリシー、手続き、ガイドライン等の書面検査と44件のプログラムの個別検査及びインタビューを行った結果、44件のプログラムの大部分で、合意に記載すべき事項(プログラムの参加資格の有無を確認するための支援企業の業種コード等)が記載されていないことを確認した。

2)GAOは、DODの業績指標やDODが収集・報告している業績情報を検査し、DODがいくつかの業績指標(合意期間中の支援企業の「雇用の増減数」、「売上の増減額」、「国防省との契約金額(元請契約額、下請契約額、メンター企業からの下請契約額とその他企業からの下請契約額)」、「プログラム終了後の業績(雇用の増減等)」)を設定していることを確認した。しかし、業績指標の目標は設定されておらず、また、支援企業が、メンター企業の再委託先又は官公庁等の元請け事業者としての能力向上を達成しているか評価するための指標が設定されていなかった(メンター企業からそれらに関わる報告を受けているにも関わらず、指標として設定していなかった)。

この結果を基に、GAOはDODに対して、以下の2点を勧告し、DODもこの勧告を受け入れています。

1)Mentor-Protégé Agreementsを承認する際の各部局の承認手続きを適切にフォローするとともに定期的なレビューを行うこと

2)DODは業績指標の目標を設定するとともに、プログラムの目的達成状況を評価するための指標を設定すること(DODは、プログラムの目的達成状況を評価する指標案として、「プログラムにより支援企業の課題が解決されたかを測定する指標」等を提案していますが、2017年1月時点では未設定)

上記のレポートで注目したい点は、支援プログラムの効果を検証するための業績指標が設定されるとともに、指標の継続的な検討が促されているという点です。

プログラムの支援を受けた企業における雇用、売上全体の増加(効果)を測定することは非常に重要ですが、それらの実績は、必ずしもMentor-Protégé Programによる純効果とは言えないため、これらの指標に加えて、プログラムの純効果を測定するための指標(プログラムにより支援企業の課題が解決されたかを測定する指標等)を継続的に検討することは重要でしょう。

近年、公共調達を活用した取組が積極的に推進される一方で、特定の政策目的を達成するためには、税制優遇等、公共調達以外の様々な政策手段が考えられるなか、公共調達を活用することの有効性を検討することの仕組みを法定又は法定されていなくても何らかの形で仕組みが存在し、継続的な見直しが行われることは非常に重要ではないでしょうか。

(参考資料)
Government Accountability Officeウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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