Column46 (04/24):公共調達における戦略(EU)(1)
Column45「付帯的政策に関わる調査(OECD)(1)」では、OECDのレポート“PUBLIC PROCUREMENT FOR INNOVATION Good Practices and Strategies”を基に、OECDが実施した、付帯的政策に関わる調査の結果を紹介しました。
OECDのレポートでは、公共調達は、最良の価格でモノやサービス等を調達する一方、技術革新を促し、中小企業の発展等、経済・社会政策の目的を達成し、社会的課題に対応するための需要サイドの戦略的な政策手段としても活用されている、と説明されています。
また、OECDのサイトでは、EUでも公共調達が戦略的な手段として位置付けられている、と紹介しています。
そこで今回は、EUの公共調達における戦略を紹介します。
EUは、公共調達における戦略として、以下の10項目を掲げています。
1.発注者の専門性を向上させること
2.発注を集約化すること
3.汚職を防ぐこと
4.グリーン調達や社会的調達、イノベーション調達の戦略的な活用を推進すること
5.エネルギーや医療等の調達を効率化すること
6.電子調達へ移行すること
7.単一市場内の企業(特に中小企業)に新たなチャンスを提供すること
8.EU企業の、非EU国の公共調達へのアクセスを改善すること
9.公共調達における改善に向けてアクションプランを作成すること
10.適切な落札基準を設定すること
4番目に挙げられているとおり、EUでは、環境に配慮したグリーン調達や、社会に対するインパクトに配慮した社会的調達、現時点では大規模な商業化は難しい革新的なモノやサービスを調達するイノベーション調達が推進されています。
もちろん、調達における競争性や透明性等も求められているため、競争性や透明性等に加えて、環境配慮や社会的配慮等、複数の観点から調達を行う必要があるのです。
日本でも、特にここ数年、競争性、透明性等以外の要素(女性活躍推進等)も考慮して調達するようになってきました。
このような(政策目的の達成のために)公共調達を戦略的に活用する方向は、世界的な潮流と言えるかもしれません。
(出典)
OECDウェブサイト
EUウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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