Column45 (04/14):付帯的政策に関わる調査(OECD)
これまでのコラムでは、日本、米国連邦政府、英国中央政府における公共調達を活用した取組(いわゆる付帯的政策)等を紹介してきました。
今回は、OECDのレポート“PUBLIC PROCUREMENT FOR INNOVATION Good Practices and Strategies”を基に、OECDが実施した、付帯的政策に関わる調査の結果を紹介します。
初めに、OECDのレポートでは、公共調達は、最良の価格でモノやサービス等を調達する一方、技術革新を促し、中小企業の発展等、経済・社会政策の目的を達成し、社会的課題に対応するための需要サイドの戦略的な政策手段としても活用されている、と説明されています。
これまで、技術革新等を促す政策手段として、供給サイドの取組が中心であったものの、最近では、多くの国で需要サイドの取組に注目が集まっているとのことです。
以下は、OECDの付帯的政策に関わる調査「Survey on Strategic Innovation Procurement 2015」の主な結果です。
※上記調査の対象国は34カ国、回答国は28カ国。回答国に日本は含まれていません。
・回答国の約80%で、公共調達により技術革新等を促すための政策手段が講じられていた。また、回答国の約50%で、それら政策手段に関わるアクションプランが作成されていた。
・回答国の約49%で、公共調達の活用による技術革新等が、利用者満足度や有効性・効率性の改善につながったと報告されていた。
・公共調達により技術革新等を促す主な政策手段は、規制や法律であった。
・技術革新等を促すために公共調達を活用する最大の理由は、新しいモノ・サービスについて需要サイドの取組を講じるためであった(次いで、既存のモノ・サービスの改善のため(コスト削減等)という理由が多かった)。
・技術革新等を促すために公共調達を活用する際の主な課題は、リスク回避、マネジメント、人材、政治のコミットであった。
日本における付帯的政策については、Column6「女性活躍推進に向けた公共調達の活用(1)」、Column8「女性活躍推進に向けた公共調達の活用(2)」、Column11「障害者就労施設等からの物品等の調達」で取組の概要等を紹介しました。
日本の枠組みとしては、公共調達を活用した取組に係る個別法を制定し、各法に基づき年度計画が策定され、評価が行われています。
そのため、枠組みとしては、OECD調査回答国の多くと類似しているかもしれません。
(出典)
OECDウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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