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2017-04-08

Column44 (04/08):分離発注の事例(英国)

Column28「公共調達における付帯的政策(2)(G-cloud)(英国)」では、政府機関向けのクラウド・コンピューティング・サービスに関するフレームワーク合意「G-Cloud framework」の事例を紹介しました。

G-Cloud frameworkとは、クラウドサービスを提供するサプライヤーと政府が基本的なサービス利用についての合意を結ぶもので、合意を結んだサプライヤーは、オンライン市場(Digital Marketplace)にサービス価格、サービスの内容、契約条件等を登録することができます。

今回は、このオンライン市場のその他のサービス(Digital Outcomes and Specialists)について、フレームワーク合意の単位の分離や、契約期間の延長オプションの設定等を行った結果、フレームワーク合意に参加する企業が2.5倍増加した事例を紹介します。

はじめに、フレームワーク合意とは、「2006年の英国公共契約規則に規定された“長期指名候補者と事前合意制度”のことで、長期指名候補者(フレームワーク企業)を選定した上で、これら企業との間で4年を限度とする一定期間内の個別発注(コールオフ)に関する受注者及び契約額の決定方法、契約条件等(フレームワーク)に予め同意する方式」です。

2016年11月以前、デジタル関連事業をサポートするチームや専門家の派遣に関するフレームワーク合意は、「Digital Outcomes and Specialists 1」として実施されていました。

「Digital Outcomes and Specialists 1」の登録企業数は、800社超であったといいます。

その後、2017年2月、「Digital Outcomes and Specialists 1」の見直し(以下に例示)を行った結果、後継である「Digital Outcomes and Specialists 2」の登録企業は2,018社(うち94%が中小企業)まで増加したと報告されています。

〇フレームワーク合意の単位を4つに分離
・digital outcomes:デジタルサービスの構築やサポート等を担当する専門家チームの派遣
・digital specialists:特定のデジタルサービスを担当する専門家個人の派遣
・user research studios:ユーザー調査の実施場所の提供
・user research participants:ユーザー調査の参加者の採用等

〇契約期間が12ヶ月と固定されていたところを、12ヶ月の延長オプションを設定 等

日本では、英国のフレームワーク合意のような、発注前に複数の企業と基本協定を結ぶような制度は整備されていないため、発注前に、「この発注単位であれば、どの程度の事業者が参加可能か?」確定することは難しいと思います。

ただ、事業規模の異なる企業への発注前ヒアリング等、市場調査を通じて、受注者側の視点から、発注単位や契約期間の設定等を検討することは、競争性の改善に向けて重要な取組ではないでしょうか。

(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
国土技術政策総合研究所資料第908号「英国・米国における包括・個別二段階契約方式-フレームワーク合意方式(FA)と数量未確定契約方式(ID/IQ)-」

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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