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2017-02-23

Column36 (02/23):調達案件の改善(英国)

Column24「企業からの問合せ対応(Mystery Shopper)(英国)」では、英国中央政府におけるMystery Shopperの取組を紹介しました。

Mystery Shopperとは、中央政府、イングランドの地方自治体・NHSトラストの発注者と元請事業者について、契約相手方の企業や契約相手方となり得る企業が、何らかの問題を発見した場合、Crown Commercial Service(以下、「CCS」と略称)に問合せし、CCSが調査を実施、調査結果を企業へフィードバックするという仕組みです。

CCSは、調査の結果、改善の必要があると判断した場合は、発注者に手続きを改めるよう要請するとともに、同じような問題が今後生じないよう発注機関に働きかけたり、発注者へ好事例の周知等を行っています。

今回は、このMystery Shopperの調査結果(2017年1月)の一部を紹介します。

1)契約マネジメントについての問合せ(問合せ:元請事業者、問合せ先:London and Quadrant Housing Trust)
・問合せ内容:清掃業務の契約において、仕様書に含まれていない「Wexham Park Hospitalの職員用の宿泊施設」も仕様に含まれているとされた。
・結果:CCSのMystery Shopperチームが入札公告や契約通知書を確認したところ、「Wexham Park Hospitalの職員用の宿泊施設」が仕様の範囲内とする根拠はあると結論づけた。ただし、今後の調達において、より明確な表現で業務範囲を定義するよう、London and Quadrant Housing Trustに助言した。

2)調達プロセスについての問合せ(問合せ:元請事業者、問合せ先:Sanctuary Housing Association)
・問合せ内容:同じ事業者と繰り返し1年契約を締結しているが、複数年の契約を合計すると、Public Contracts Regulationsに基づき、競争入札の対象案件になるのではないか。
・結果:CCSのMystery ShopperチームがSanctuary Housing Associationに確認したところ、当該契約の開始時期は不明であり、当時の担当者は既に退職していた。Sanctuary Housing Associationの最近の監査では、契約書類を発見することができず、当該契約は現在の契約相手方と2017年3月までの1年契約とすることになった。また、Sanctuary Housing Associationは当該契約を競争入札にかける予定であると説明した。併せて、当該契約により提供されるサービスを内製化することも検討するとした。

日本でも、中小企業からの問い合わせ窓口として、国等の発注機関官公需相談窓口や、官公需総合相談センターが開設されています。

しかし、上記のように、企業からの問合せについての調査の実施や、問合せ企業への調査結果のフィードバックが制度化されている訳ではなく、また、個別案件の問合せ内容とその対応結果がどのようなものだったか、公表されている訳ではありません。

上記のMystery Shopperの調査結果を見ると、個別案件の問合せに対応し、着実に一つ一つの案件を改善する取組は、非常に地道な取組だと思います。

ただし、このような地道な取組も、改善取組を定着させるためには必要かつ重要ではないでしょうか(もちろん、調達マネジメント全体に係る大がかりな取組も必要ですが)。

(参考資料)
Crown Commercial Serviceウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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