Column32 (02/05):中小企業の受注機会増大に関わる取組(1)(英国)
Column28「公共調達における付帯的政策(2)(G-cloud)(英国)」で紹介したとおり、英国では、英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、CCSという)が、政府との契約を締結した中小企業の事例を紹介しています。
CCSが紹介する事例は、政府との契約を締結したことで、中小企業がどのような発展を遂げたのか?、という視点で整理されています。
今回は、事例の一つであるFox Feeds社を取り上げます。
Fox Feeds社は、政府と、式典等で王立騎馬砲兵・国王中隊等が騎乗する馬500頭の飼料の供給契約を締結している会社です。
Fox Feeds社は、政府との契約を締結したことで、以下のメリットがあり、結果として、配送が効率化し、売上増と増益が実現したと報告しています。
・企業としての信頼を獲得し、飼料を増産するための設備や道路整備に関する投資を行うことができた。
・フルタイムで専門性の高い従業員を新規雇用することができた。
さらに、Fox Feeds社は、政府との契約により売上増だけでなく、伝統的なビジネスに新しいアプローチで取り組むことができ、馬の生育環境と飼育者の雇用環境の両方を迅速に改善できたことが非常に重要な点だ、と述べています。
日本でも、Column2「公共調達に関する制度」で紹介したとおり、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(官公需法)」(昭和41年法律第97号)があり、官公需法は、国等が物件の買入れ等の契約を締結する場合における新規中小企業者をはじめとする中小企業者の受注の機会を確保するための措置を講ずることにより、中小企業者が供給する物件等に対する需要の増進を図り、もって中小企業の発展に資することを目的としています。
Fox Feeds社の事例は、政府との契約により一企業の売上が増加したというだけでなく、政府との契約により旧来のビジネスに新しいアプローチが試みられ、(現時点では)成功に至ったという、産業振興としての意味合いもあったことがポイントだと思います。
日本でも、少なくとも、政府との契約が一中小企業の発展に貢献したのか?、ひいては、産業もしくは中小企業全体の発展に貢献したのか?、という視点で事例を積み上げていくことは重要ではないでしょうか。
(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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