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2017-01-09

Column29 (01/09):競争か補助金か(英国)

サーチ・ナウ「公共調達を活用した取組の有効性の検証」(2015年1月9日)では、近年、公共調達を活用した取組が積極的に推進される一方で、特定の政策目的を達成するためには、公共調達以外の様々な政策手段が考えられることから、仮に、特定の政策目的の達成に公共調達を活用するならば、活用したことの有効性、結果の検証が重要である、と述べました。

この様々な政策手段とは、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?

一つに、補助金や助成金があります。

例えば、英国では、英国会計検査院(National Audit Office)が、英国財務省(HM Treasury)や英国内閣府第三セクター局(Office of the Third Sector)など、関係機関と協力して、政府が第三セクターからサービス等を購入する際の指針(Successful Commissioning Toolkit)を作成しています。

この指針では、政府が第三セクターからサービス等を購入する際、まずは国民のニーズを明らかにし、サービスの提供方法等をデザインした後、入札等の競争による調達(procurement)と補助金や助成金(grant)のどちらを選択するか(または両方を用いたハイブリッド型とするか)、政策手段を選択する際のポイントを明らかにしているのです。

具体的には、政策手段の検討において、以下の4点がポイントとされています。

1.マーケットの状況(State of the market)
一般的に、潜在的なサービス提供者を含めて、サービスを提供することのできる機関が多く存在し、マーケットに競争性がある場合は、入札等の競争による調達(procurement)を選択する。

2.マーケットの将来の状況(Desired future state of the market)
現時点ではサービス提供可能な者が1機関しか存在しない場合、質の高いサービスを提供する他の機関を誘致するか、特定の機関を育成し、その上で、サービス提供者の間で競争性を確保するために、入札等の競争による調達や競争的な補助金、助成金を選択する。

3.サービス等提供能力の育成(Capacity building)
サービス提供可能な機関が、組織としてのガバナンスや人的資源が不足している場合、まずは当該機関の能力育成を目的として、補助金を支出し、その後、競争的なプロセス(入札等の競争による調達や競争的な補助金、助成金)に移行する。

4.実施可能性(Enforceability)
一般的に、契約の方が補助金等よりも実施可能性が高いため、実施可能性を踏まえた選択も必要である。(補助金や助成金は、使途に制限はあるものの、支出側の政府は対価として何らかのサービスを受ける権利が無い一方、入札等の競争の結果、締結した契約は、支出の対価としてサービス等の提供を約束するもの)

日本でも、公共調達を活用した政策的な取組(付帯的政策)を推進する際、また、個々の様々な調達を行う際、その取組が果たして入札等の競争による調達に適しているのか、補助金や助成金等に適しているのか等、サービスを購入する際の大きな考え方を整理したもの(厳格な基準ではなく、大きな方向性を示すようなもの)も有効かもしれません。

(参考資料)
National Audit Officeウェブサイト
川澤良子「公共調達を活用した取組の有効性の検証」(2015年1月9日)三菱UFJリサーチ&コンサルティング サーチ・ナウ

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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