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2016-12-10

Column25 (12/10):調達政策における主導機関(英国)

英国中央政府では、Column22「公共調達に関する制度(英国)」で紹介したとおり、内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、「CCS」と略称)が、調達政策の主導的な役割を果たしています。

今回はこのCCSについて紹介します。

はじめに、CCSの責務は以下の4点であるとされています。

・共通のモノ・サービスの調達を一元管理することでValue for Moneyを達成する

・共通のモノ・サービスを一括調達したり、小規模なプロジェクトを統合することで、納税者に対して経費節減を実現する

・サプライヤー管理や契約管理の改善を行う

・中央政府に代わり調達政策を主導する

CCSが調達をサポートするのは中央政府やそれ以外の公的機関17,000超にのぼり、これら機関のサプライヤーは5,000超であると言われています。

それでは、17,000超に及ぶ公的機関の調達をどのようにサポートしているのでしょうか?

サポートする一つの方法として、カテゴリーマネジメント、調達分野ごとにサポートする仕組みが取られています。

現在の調達分野としては、工事、エネルギー、施設管理、車両、IT、印刷、人材サービス、旅行等11分野が設定されており、2016年~2017年の計画(business plan)では、廃棄物管理や教員の配置、社会的ケアの提供も一元管理の分野に含めること等が検討されています。

例えば、調達分野ごとのサポートとして、車両の例を挙げると、22の警察の2,800台の警察車両の調達をサポートすることで、5百万ポンドの節減が可能になった等の事例が紹介されています。

それでは、日本でも、中央政府だけでなく、数多くの公的機関の調達を一元的にサポートするような機関は存在するのでしょうか?

答えは、「存在しません」。国の調達については、内閣官房行政改革推進本部事務局が調達改善の取組を推進していますが、国以外の地方自治体や地方独立行政法人を含めた幅広い公的機関の調達改善を推進するような単一機関は存在しません。

また、調達をサポートするために、いくつかの調達分野を設定し、各分野で専門性を有する人材を配置し、公的機関の調達をサポートするような体制も取られていません(ITについては、各府省にIT調達の助言を行うCIO補佐官が配置されています)。

日本でもこのような一元管理を行う機関を設置することの意義はあるのでしょうか?これについては、別のColumnで、まずはCCSの取組の効果等を紹介し、その意義を検討したいと思います。

(参考資料)
Crown Commercial Serviceウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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