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2016-11-04

Column20 (11/04):一括発注の判断基準

Column19「グリーン調達(1)」では、グリーン調達においては、特定調達品目(特に重点的に調達を推進すべき環境物品等の種類)を選定する際のコストの基準(当該品目は環境負荷低減効果に対してコストが著しく高くない、または、普及による低減が見込まれるか等を判断する基準)は数値化・具体化されていないことを指摘しました。

付帯的政策を実施する際の透明性や公正性を確保するためには、難しいですが、コストを含めて、発注する際の判断基準を明確にすることが重要です。

川澤、大野(2015)は、米国連邦政府において、契約を包括化する場合、いわゆる一括発注(一般型一括発注契約及び中小企業不適合型一括発注契約(※))に該当すると判断された場合、一括して発注することに必要かつ正当性があるか決定するための便益分析を実施し、便益分析の結果(便益分析の結果は発注の際の重要な判断材料となります)については、一般型一括発注契約及び中小企業不適合型一括発注契約それぞれについて一定の基準が設定されていると述べています。

具体的には、一般型一括発注契約及び中小企業不適合型一括発注契約それぞれについて以下のような基準が示されています。

<一般型一括発注契約及び中小企業不適合型一括発注契約の便益分析に関わる基準>
(一般型一括発注契約)
・代替案の便益を十分に上回った場合、一般型一括発注契約は必要かつ根拠があると結論づけられる。
・一般型一括発注契約では、全ての便益を定量化する必要はなく“十分に上回る”数値基準は示されていない。

(中小企業不適合型一括発注契約)
・予定契約価格が 94 百万ドル以下の契約については、中小企業不適合型一括発注契約の便益が、代替案の便益を予定契約価格の10%以上上回る場合、中小企業不適合型一括発注契約は必要かつ根拠があると結論づけられる。
・予定契約価格が94 百万ドル以上の契約については、中小企業不適合型一括発注契約の便益が、代替案の便益を予定契約価格の 5%以上又は 940 万ドル以上上回る場合、中小企業不適合型一括発注は必要かつ根拠があると結論づけられる。

中小企業不適合型一括発注契約のように、明確な数値を判断基準として設定することは難しいですが、付帯的政策を推進するためには、付帯的政策を実施する際のコストの基準(例えば、付帯的政策を実施する際に許容されるコスト増は比較対象製品の10%以内等)を明確にし、発注者が判断に迷うことの少ない、付帯的政策の透明性や公平性を確保し得る仕組みづくりが重要と言えるでしょう。

米国連邦政府における一括調達の判断基準は、日本の付帯的政策の判断基準を検討する上で、参考になる取組かもしれません。

(※)
1.一般型一括発注契約に該当するか決定する際の項目
※以下を満たす場合,一般型一括発注契約に該当する。ただし,以下の手続が適用される契約は,2 百万ドル以上の場合のみである。
・当該契約が,複数の業務内容や複数の機関からの発注である。
・以前は,2 つ以上の契約で実施していた。

2.一般型一括発注契約が中小企業不適合型一括発注契約に該当するかを決定する際の項目
※以下を満たす場合,中小企業不適合型一括発注契約に該当する。ただし,以下の手続が適用される契約は,米国内で契約が履行される場合のみである。
・一般型一括発注契約に該当する。
・中小企業が一般型一括発注契約(一部でも可)を実施していたか,又は以前は実施していた。
・中小企業の受注に適さない(以前は中小企業の受注に適していた。)。

(参考資料)
環境省ウェブサイト「グリーン購入法.net」
川澤、大野(2015)「公共調達における政策的配慮と経済性の確保-我が国及び米国連邦政府の取組等を基にした検討-」会計検査研究第54号

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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