Column17 (10/24):付帯的政策に関わる評価(2)(米国)
Column10「付帯的政策に関わる数値目標の設定と評価(米国)」では、以下のとおり、中小企業全体及び4つのカテゴリーごとに契約金額に関わる数値目標が設定されていること、また、中小企業庁(Small Business Administration。以下、「SBA」と略称)が、各府省における中小企業の受注機会促進に関わる取組の達成状況を評価したSmall Business Procurement Scorecardsを公表していることを紹介しました。
<契約目標>
・Small Business: 23%
・Women Owned Small Business: 5%
・Small Disadvantaged Business: 5%
・Service Disabled Veteran Owned Small Business: 3%
・HUBZone: 3%
そして、Column12「付帯的政策に関わる評価(1)(米国)」では、SBAが公表しているSmall Business Procurement Scorecardsの6段階評価の結果を導くために、3つの要素(元請契約の達成度、下請契約の達成度、7つの成功要因)があることを紹介しました。
ここでは、要素の一つである「下請契約」に着目します。
物品や役務の65万ドル以上(工事は150万ドル以上)の契約では、元請先が、どのように中小企業に下請先となる機会を提供するか、具体的な計画を策定する必要があります。
もちろん、計画を策定するといっても、最終的に下請先を決定するのは元請先である民間企業等です。それでは、政府として、どのように下請契約における中小企業の受注機会促進に貢献しているのでしょうか、何か具体的な取組を行っているのでしょうか。
一つの答えは「SUB-Net」です。
これは、元請先にとっては下請先の中小企業を募集できるサイトであり、逆に下請契約を希望する中小企業にとっては自社の専門分野に関わる下請案件を検索できるデータベースです。
Sub-Netは、SBAが運営しています。ただし、連邦政府の案件に限らず、連邦政府外の機関(州政府、地方政府、NPO、大学、外国政府)の案件も検索することができるようになっています。
下請契約における達成度を、各府省の評価項目の一つとして設定する以上、下請契約における中小企業の受注機会促進を民間企業任せにするのではなく、取組を促進するためのインフラを提供している点は注目に値するでしょう。
また、Column15「地域における中小企業の受注機会の促進(米国)」では、中小企業庁の6つの支所に配置されている民間市場担当者(Commercial Market Representatives)が、元請契約者の審査(compliance review)を行い、中小企業に対して下請契約先となりうる方法を提案するとともに、元請契約者と下請契約先になりうる中小企業のマッチングも行っていることを紹介しました。Sub-Netは、まさにこの元請契約者と中小企業のマッチングを可能にするデータベースと言えるでしょう。
(参考資料)
U.S. Small Business Administrationウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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