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2016-09-23

Column10 (09/23):付帯的政策に関わる数値目標の設定と評価(米国)

Column3「公共調達における付帯的政策(米国)」では、中小企業全体及び4つのカテゴリーごとに数値目標が設定されていることを紹介しました。

<契約目標>
・Small Business
・Women Owned Small Business
・Small Disadvantaged Business
・Service Disabled Veteran Owned Small Business
・HUBZone

ここでは数値目標がどのように設定され、実績をどう評価しているのか、そのプロセスを紹介します。

Small Business Actでは、大統領は、毎年、中小企業との契約に関わる数値目標及びカテゴリーごとの数値目標を設定すると定めています。

現在の中小企業全体の数値目標は、元請契約金額の23%以上、カテゴリーごとの数値目標は、Women Owned Small Business、Small Disadvantaged Businessの元請契約及び下請契約の金額の5%、Service Disabled Veteran Owned Small Business、HUBZoneの元請契約及び下請契約の金額の3%で、いずれの数値目標も法定されています。

このように、法定されている数値目標は、府省ごとの数値目標ではなく、政府全体の目標ですが、各府省の数値目標も別に設定されています。具体的には、2年ごとに、中小企業庁(Small Business Administration。以下、「SBA」と略称)と各府省が年間の目標値を協議し、目標が決定されます。SBAは、各府省の目標値を合計して、Small Business Actで定められた数値目標(23%以上)が達成されるよう協議を行います。なお、SBAと府省間の協議が整わない場合は、最終決定に向け、予算管理局(Office of Management and Budget)の連邦調達政策室(Office of Federal Procurement Policy)にその旨が通知されます。

このように各府省の数値目標が決定されると、次は目標達成に向けた計画が策定され、各府省は中小企業等の参加拡大に努めることになります。そして、これらの取組の実績は、年度ごとに、各府省からSBAへ報告され、SBAが大統領及び議会へ報告します。SBAは、各府省からの報告を基に、府省ごと及び政府全体の実績を整理し、各府省の取組の進捗状況を評価した、Small Business Procurement Scorecardsを作成し、公表しています。

日本でも、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律第4条に基づき、毎年度、中小企業者に関する国等の契約の基本方針が閣議決定され、そのなかで、中小企業・小規模事業者向け契約の実績及び目標等、政府全体の数値目標が設定されています。連邦政府と同様のカテゴリーはないですが、新規中小企業者については、平成27年度から平成29年度までの3年間で、平成26年度比で国等全体として概ね倍増の水準となるよう努める、といった内容も盛り込まれています。

このように、日本でも政府全体の数値目標を閣議決定し、各府省の目標を別に設定している点は同様ですが、Small Business Procurement Scorecardsのように、各府省の取組を中小企業庁が評価することはありません。中小企業庁が客観的な評価を行い、さらなる取組を促すことも考えられるかもしれません。

(参考資料)
U.S.Small Business Administrationウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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