Column8 (09/16):女性活躍推進に向けた公共調達の活用(2)
公共調達では、調達における公正性、厳正性及び経済性を確保することが求められています。さらに、このような、公正性・厳正性と経済性の調和を前提として、一定の政策目的を達成するための配慮を行うことも求められています。様々な政策的目的を実現するために契約の場を活用すること、いわゆる「付帯的政策」の推進が求められているのです。
このような一定の政策目的を達成するために公共調達を活用する取組の一つとして、Column6「女性活躍推進に向けた公共調達の活用(1)」では、国が示した女性活躍推進に向けた公共調達の活用指針と課題を紹介しました。
ここでは、公共調達を活用して男女共同参画の推進に取り組む地方公共団体の取組を紹介します。
公共調達の活用方法として、「女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針」(平成26年8月5日付け男女共同参画推進本部決定)では、「総合評価落札方式・企画競争方式において、男女共同参画に取り組む企業等を評価する」ことが挙げられていました。
地方公共団体では、具体的にどのような方法で取り組まれているのでしょうか?
例えば、札幌市では、総合評価落札方式における加点に加えて、「競争参加資格審査での優遇」も行われています。
・札幌市
物品・役務契約: 各担当課で直接、指名競争入札の参加者や随意契約の相手方を選定できる契約手続きを実施する際、認定企業(3段階のうちステップ1以上)を優先的に選定するよう努める。
工事契約: a)札幌市競争入札参加資格審査(工事)の際、一定の要件に該当する認証企業に主観的評定点を5点加算。b)総合評価落札方式(人材育成型)において、特定の区分のいずれかに該当する認証企業には、技術評価点を区分に応じて加点する場合がある。
他にも、指定管理者候補の評価における加点及び減点といった取組も見られます。
・広島県広島市
男女共同参画・子育て支援の推進、障害者雇用率の達成、環境問題への配慮、地域貢献度など、市の推進すべき行政目的に沿った取組を行っている団体に対して加点(取組を行っていない団体は減点)。
例えば、次世代育成支援対策推進法に基づき、a)一般事業主行動計画を策定している/策定していない場合、従業員101人以上は3点減点、従業員100人以下は2点減点。b)女性のチャレンジ賞を受賞している場合は2点加点。c)均等・両立推進企業表彰を受賞している場合は2点加点等。
このように国と地方公共団体では、取組の方向性(男女共同参画の推進に向けた公共調達の活用)は一致しているものの、地方公共団体の方が、様々な方法を活用して取組を推進していると言えるでしょう。
(参考資料)
中小企業庁「地方公共団体における官公需発注事例集」
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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