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2016-09-12

Column7 (09/12):Woman Owned Small Business Program(米国)

Column3「公共調達における付帯的政策(米国)」で紹介したとおり、米国連邦政府では、契約担当官は、3,000ドル~150,000ドルの調達(一部例外あり)において、以下のプログラム・カテゴリーの対象となっている中小企業にset-aside(中小企業向けの留保)を適用し、自動的にそれら中小企業との契約を締結することが義務付けられています。

<set-asideの対象>
・8(a)Business Development
・HUBZone Program
・Woman Owned Small Business Program(includes Economically Disadvantaged Woman Owned Small Business concerns)
・Service Disabled Veteran Owned Program

上記のプログラム・カテゴリーの内容は、どのようなものなのでしょうか?ここでは、Column4「8(a) Business Development Program (米国)」Column5「HUBZone Program (米国)」に続き、Woman Owned Small Business Programを取り上げます。

Woman Owned Small Businessプログラムでは、要件を満たす女性が経営する中小企業(以下、「女性経営中小企業」という)及び女性が経営する経済的に不利な中小企業(以下、「経済的に不利な女性経営中小企業」という)に対するset-asideと一定の条件に基づく単独契約(sole selection)の優遇が行われます。このような優遇により、幅広い産業の女性経営中小企業にとって、連邦政府の競争参加機会が平等になることを目的としているのです。

Woman Owned Small Businessプログラムの特徴は、上記の「幅広い産業で」女性経営中小企業の参加機会の平等を実現しようとしている点でしょう。

幅広い産業で女性経営中小企業を増やすために、相当程度、女性経営中小企業が少ない産業(92産業)と、一定程度、女性経営中小企業が少ない産業(21産業)を特定し、92産業に該当する女性経営中小企業と、113産業(92産業と21産業の合計)に該当する経済的に不利な女性経営中小企業を発注において優遇しているのです。

この産業を特定するため、5年ごとに産業調査が行われています。具体的には、産業コードごとの連邦政府の元請契約のデータを活用し、契約先の決定に影響を与える要因の分析や、産業コードごとの女性経営中小企業と非女性経営中小企業の受注割合を比較する等して、優遇措置を講じる産業を特定しているのです。

日本でも、Column6「女性活躍推進に向けた公共調達の活用(1)」のとおり、女性活躍に向け、公共調達における優遇措置が行われていますが、女性経営中小企業が不足している産業を特定し、そのような産業における発注で積極的な優遇を行ういった、ある意味、戦略的な取組は行われていません。公共調達における優遇措置でどのような企業を増やしたいのか、目的をより明確化し、これまで以上に戦略的な制度設計を行うことも考えられるでしょう。

(参考資料)
U.S.Small Business Administrationウェブサイト

Federal Register Vol. 81, No. 42

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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