Column2 (08/21):公共調達に関する制度
国が外部からモノやサービス等を調達する時の内部手続は、主に会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)、予算決算及び会計令臨時特例(昭和21年勅令第558号)及びこれに基づく省令で規定されています。(地方公共団体は地方自治法等で規定されています。)
これらの規定は、発注官庁が、調達を公正かつ厳正に行うことに加えて、効率的に予算を執行すること、つまり、調達において経済性を確保することも求めています。公共調達においては、公正性・厳正性と経済性の調和を図ることが必要なのです。
さらに、公共調達においては、この公正性・厳正性と経済性の調和を図ることを前提として、調達において一定の政策目的を達成するための配慮を行うことも求めています。様々な政策的目的を実現するために契約の場を活用すること、いわゆる「付帯的政策」の推進が求められているのです。
例を挙げると、中小企業の受注機会を確保すること等を目的とした「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(官公需法)」(昭和41年法律第97号)や、障害者就労施設等の受注機会を確保すること等を目的とした「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(障害者優先調達推進法)」(平成24年法律第50号)、女性活躍推進に関する取組の実施状況が優良な一般事業主の受注機会の増大等を目的とした「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」(平成26年法第64号)等の法律が施行されています。これらの法律では、それぞれの政策目的に応じて、調達における配慮事項を規定しているのです。
女性活躍推進法の関係では、同法第20条に基づき策定された取組指針(すべての女性が輝く社会づくり本部平成28年3月22日決定)のなかで、価格以外の要素を評価する調達(総合評価落札方式、企画競争方式)において、ワークライフバランス等推進企業(女性活躍推進法、次世代法、若者雇用促進法に基づく認定の取得企業や女性活躍推進法に基づく計画策定中小企業)をより幅広く加点評価することを求めています。
このような公共調達において一定の政策目的を達成するための配慮を行うことは、ある意味、新たな予算措置を必要とせずに、政策目的を達成する手段が増えることを意味しています。財政状況が厳しい中、今後、益々こうした取組(付帯的政策)が推進されることが考えられます。
(参考資料)
青木孝德(2015)「会計法精解(平成27年改訂版)」大蔵財務協会
碓井光明(2005)「公共契約法精義」信山社
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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